新浦安「日の出三番瀬」は、湾内一面をスズガモの群れで圧倒中


 先日の11月24日、東京都の葛西海浜公園がラムサール条約に登録されました。これで国内の条約湿地箇所は52か所になるそうです。管理人は、先月この中の一つとして、ラムサール条約湿地の先輩格である日本最大の湿原としても知られる「釧路湿原」を訪ね、タンチョウ(丹頂)を撮影してきました。

 

 野鳥撮影のカメラマンは山鳥専門は例外としても水鳥を撮影する機会は多いはずです。ラムサール条約は、こうした水鳥達が安心して生活できる場を提供し湿地などが破壊されないよう守っていく国家間の取り決めで、野鳥観察をする者にとって知っておいても損はないかも知れません。

 

 国と国との境界はありますが、水鳥などは国境など関係なく餌を求めて生活しているわけですから、産まれる場所や過ごす場所が狭くなったり、或いは無くなってしまったら鳥たちにとって一大事です。

 

 私たちは何気なく野鳥を撮影して鳥がいるのが当たり前となっていますが、実は鳥たちも生きるために食べ物を探して飛び回っており、湿地の保全は野鳥を守るだけでなく私たち人間を含む生態系を守るシステムとして重要な部分を占めていると言えるでしょう。

 

 ここ新浦安の日の出三番瀬は、遠浅であることから潮干狩り地として海を臨む憩いの場としても親しまれ、冬は豊富な魚貝類を求めて渡りの水鳥達がやって来ます。

 今年も越冬するため沢山のスズガモの群れが到着しています。スズガモたちの行動を観察していると、魚ではなく貝類を得意の潜水で採って来ては食べるのが見られます。この三番瀬には、越冬中、これだけの水鳥達を養っていくだけの食量があるのかと驚きです。

 

 日の出三番瀬は、海に沿って散策のための緑道が設けられ、並行して一段低い所には側道があり、側道の端は津波対策なのか堤防が設けられ海には直接降りられない様になっています。水鳥の観察は堤防の上から見下ろす感じになります。

 

 小魚たちは昼間は暖かくなる陸に近い所に集まってくるので、それを狙ったカンムリカイツブリやウミアイサなどが採餌のためかなり近くまで寄ってくれ、大口径レンズでなくてもそれなりに大きく撮れそうです。

 

 この時期、スズガモ達も人が怖いのでなかなか岸辺に寄って来ませんが、中心部の餌が枯渇してくる2月頃には、岸辺付近の餌を求めて危険覚悟で近寄ってくるのでその時が撮影のチャンスかも知れません。

 

注)ラムサール条約は、1971年2月2日、イランのラムサールと言う都市で採択された「湿地に関する条約」で開催地に因んで名付けられる。2018年11月24日現在、締約国は170か国、条約湿地数は、2,334か所に上る。(本文中ラムサール条約に関することは、環境省ホームページ及び釧路市ホームページを参照させて頂きました)

 

日の出三番瀬の湾内は、一面がスズガモの群れ

岸辺は、オオバンの群れとヒドリガモが占拠

岸辺は小魚が沢山寄って来るので、それを求めてウミアイサやカンムリカイツブリ、ハジロカイツブリが接近

 

撮影場所;千葉県浦安市 日の出三番瀬

撮影日時;2018.11.26