集団追い込み漁の「カワアイサ」周辺はユリカモメの群れで賑やか!!


 先日は横須賀市のある漁港でウミスズメを撮影した折、七羽位のウミスズメの群れが追い込み漁をする様を見てきましたが、カワアイサも集団で追い込み漁が行なわれているのを確認できました。

 小田原市を流れる酒匂川には今年もカワアイサの群れが沢山入っているようです。

 

 カワアイサは、ユーラシア大陸中北部や北アメリカ北部で繁殖し、冬季はヨーロッパ、中央アジア、中国東部そして朝鮮半島や日本に渡って来る冬鳥で、日本では北海道で留鳥として繁殖が見られている所もあるとか(☆)。地元の写真家の話によれば、酒匂川でも昨年二組程度が留鳥になっており、夏には繁殖も確認出来たとのこと。

 

 管理人が撮影した場所には、カワアイサは雄が二羽、雌八羽の大所帯でしたが、酒匂川全体ではもっと入っているのかも知れません。今年の北国から渡ってきている冬鳥は、繁殖が成功しているのか比較的数が多いように感じます。

 

 管理人が訪ねた酒匂川は、支流の入り込みで左右両側を流れていますが、途中から流れの強い方から割り込んで合流して一本になり、流れ込みの周囲は沼の様な形で残っています。また、途中には水の流れを調節する堰があります。

 

 カワアイサの漁は夕刻から始まり、この地形を上手に活用して追い込み漁をしているのです。ウミスズメは等間隔で一列に横に広がり小魚を端まで追い詰めていましたが、カワアイサはニ三羽ずつの潜り専門部隊が二組おり、少し間を取って波波的に攻撃を仕掛けるのです。

 

 賢いのはここからで、潜り部隊に追い詰められた小魚たちは水面近くに浮かんでくるのですが、飛び上がる小魚を押し戻す専門の部隊がいるのです。滑空部隊とでも呼びましょうか、滑空部隊の編成は残りのニ三羽ですが、水面近くを順番に或いは同時にと繰り返し滑走して水の中に押し戻しているのです。追い詰められた小魚たちは一塊になって岸辺近くで右往左往しており、カワアイサは難なく餌をゲットしていました。知略に長けたフィッシャー・マン、ではなくフィッシャー・バードです。

 

 カワアイサの漁に協力しているのか見物だけなのか、周辺にはユリカモメや白鷺の群れが陣取ります。この応援隊、ウミスズメの漁とは違って数が半端ではないのです。カワアイサの追っかけは管理人だけではなく、おこぼれを期待するユリカモメ達もやっているのです。これはカワアイサの撮影するためのサインをもらったようなものです。川に潜ったカワアイサを探すよりも、ユリカモメ達を追いかけた方が効率的に撮影できますから。

 

 ユリカモメや白鷺は、カワアイサの追い詰める岸辺の方向に陣取ります。カワアイサにすればせっかく追い込んできた小魚を横から奪われるのは釈然としないように見えましたが、実は彼らもカワアイサの戦闘に間接的に加わっているのかも知れません。見ていると彼らが岸辺にいることで、小魚たちが更に混乱しているようでした。

 

注)☆印の文章は、ウェブ版ウェキペディアの「カワアイサ」の項目を参照しました。

 

撮影場所;神奈川県小田原市 酒匂川

撮影日時;2018.12.2