日向渓谷で元気なカワガラス(川鴉)の雛が三羽誕生。岩の上で、黄色い口を大きく開け、羽をばたつかせ食物おねだり。

 丹沢大山国定公園の入り口となる日向渓谷には、伊勢原市が子供たちの環境学習のために日向ふれあいの森にキャンプ場が作られています。この手前には施設を利用する来訪者や大山を登山する人のために無料駐車場が用意されており、私たち野鳥カメラマンもこれを利用することが出来ます。

 

 道路に沿って作られた駐車場を横に見ながら勾配のややきつい道路を進むと、日向ふれあいの森のゲートが見えます。キャンプは夏休みに利用されるため、ゲートは閉まっていますがその脇から入ることが出来、道路は人の往来のため中央に階段が作られ登りやすくなっています。

 

 やや急な階段を進んでいくと渓流が右側に見え、更に進んでいくと砂防のための堤防があり、そこからは川の流れが滝になって水しぶきを上げています。実は、カワガラス、この滝の中に僅かな隙間を利用して営巣しているのです。雛に餌を与える時には、出入りの度に勢いよく落下する滝の間を潜り抜けると言う、決死の餌運びをしているのです。

 

 カワガラスの親にとって出入りは不自由ですが、水のカーテンは猛禽や他の動物たちを寄せ付けないバリアーとなり、雛たちを安全に守る利点がある訳です。今年も三羽の雛が次々と誕生しました。まだ黒くならない灰色に近いカワガラスの雛たち、まだ黄色い口を大きく開け、鳴きながら小さな羽根をばたつかせ親に居場所を知らせる様子は微笑ましい限りです。

 

 このカワガラスですが、ヒマラヤ北部からインドシナ半島北部、中国、台湾、サハリン、日本及びカムチャッカ半島に分布(☆)しているとのことです。主に極東アジア圏を中心に棲息していてヨーロッパ圏にはいないということでしょうか。

 

 日本では平地から亜高山帯の川の上流から中流の岩石の多い所iに棲息し、単独もしくは番で行動しており群れを作ることはないとのことです(☆)。一定の温度を保ち、餌の豊富な川には四季を通じて昆虫が生息しており、昆虫を食料とするカワガラスにとって冬季の一部を除けば充分な食糧があり、他の野鳥よりも繁殖を早めに始めることも頷けます。

 

☆印)Web版ウィキペディアのカワガラスの項目を参照いたしました。

カワガラスの雛への給餌。

撮影場所;神奈川県伊勢原市 日向ふれあいの森付近日向川

撮影日;2019.4.18