官民挙げて保護に取り組んでいる、佐渡島の「トキ(朱鷺)」。警戒心が強く臆病すぎる性格は、絶滅から免れるか?

 六月の梅雨の合間を縫って17日の月曜日から三日間、新潟県の佐渡島を訪ねました。ほぼ、佐渡島にしか生息していない「トキ(朱鷺)」を撮影するためです。 

 日本で、「トキ(朱鷺)」の生息数は、2019年6月17日現在351羽(☆)ということですが、飼育している数を減じると野生で暮らしているトキはもう少し少ないかも知れません。トキ(朱鷺)は、ペリカン目、トキ科、トキ属で学術名は、ニッポニア・ニッポンです。トキは、1952年稀少になったことを受け特別天然記念物に認定されています。また、絶滅寸前の状態になったことにより、1967年佐渡にトキ保護センターを設置して、トキの保護と繁殖活動を開始したそうです(☆☆)。翌年1968年には、トキの生態と繁殖に貢献したことでも有名な最後の国産トキ、「キン」が捕獲されました。このニュースは、テレビでも取り上げられてよく覚えています。

 

 実は、この捕獲作戦、秘話があったのです。捕獲に当たったのは佐渡の愛鳥家、宇治金太郎さんという方、この方は群れからはぐれ幼鳥でもあったキンに餌を与えて可愛がっていたようです(☆☆☆)。はぐれたキンは餌の取り方も分からず困っていたことでしょう。ご存知の様にトキは、他の野鳥と比べると恐ろしく警戒心の強い鳥で、人の顔を遠くに見えただけでも飛び去ってしまいます。そんな怖がりの野鳥を徐々に間合いを詰め慣らして餌付けに成功したとのことですが、並大抵のご苦労ではなかったろうと察しています。

 

 宇治さんは、トキ子と呼んで我が子のように可愛がっていたそうです。他の方が捕獲に当たっても何度も逃げ去ってしまうトキ子、宇治さんは自由な自然界から檻の中に閉じ込めてしまうことに最後まで決断できなかったそうです。しかし、悩んだ末に捕獲の先頭に立ち、宇治さんから差し出した餌をもらい、その後宇治さんに寄り添うように座り込んだそうです。優しく抱きかかえながら大粒の涙を流して引き渡した宇治さん、死ぬ間際までトキ子を案じていたそうです(☆☆☆)。

 

 宇治金太郎さんの一字をもらった「キン」のその後は、トキの生態や繁殖に貢献し、可愛がってもらった宇治さんよりも長生きをして2003年10月10日亡くなったということです。人間の年齢換算では100歳を超えるとか。

 現在、トキの絶滅保護に取り組んでおられる関係者の方々に心より感謝を申し上げます。

注)☆印;環境省佐渡自然保護官事務所調べ、☆☆印;Web ウィキペディア、トキ参照、☆☆☆印;Pet Pediaトキ参照

撮影場所;新潟県佐渡市新穂潟上

撮影日;2019.6.17~18

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コメント: 2
  • #1

    とね (土曜日, 17 8月 2019 21:52)

    とても大きな体をしてますね。
    餌になるドジョウ?
    は田んぼにいるのですか?

  • #2

    鳥の宴管理人 (日曜日, 18 8月 2019 07:18)

    とねさん。
    ブログをご覧いただきありがとうございます。
    羽を広げると大きく見えますが、コサギくらいの大きさだと思います。
    農家の方は朱鷺を守るために農薬を使わないで、餌となるドジョウを増やしているとか。
    農家の方に感謝です。秋になると婚姻色の灰色が無くなるので、より綺麗になるそうです。