葦原の忍者、「ヨシゴイ(葦五位)」の巧妙な擬態、忍法「空蝉」

 ヨシゴイ(葦五位)の餌を捕る所を撮影するため、再び平塚の葦原を訪ねました。葦原隣の水田の稲も株が一回り以上大きく育ち、引かれた水も安定してヨシゴイの餌となるドジョウやフナが流入してきています。ヨシゴイも、これまでは葦原から遠くの川や沼に行って採餌していましたが、やっと近くの田圃でも餌が捕れるようになりました。

 

 ヨシゴイの朝の食事は比較的遅く7時半頃からでした。その前には葦原の周囲を確認するために出入りを繰り返し、近くの川や水田に行っていましたが、飛び上がるや直ぐに隣の水田に降り立ち、採餌活動を始めたのです。これまでヨシゴイの写真は撮っていますが、餌を捕る時の立ち合いは初めての経験です。

 

 餌を採るときは、あの長い、自由に伸縮できる首を上手に使って狩りをしていました。身体を動かさず首だけ伸ばせるので、音を発てることなく目標物に近付くことが出来ます。獲物を見つけるや一気に首を伸ばして瞬時に捕らえてしまうのです。ササゴイの狩りも同様ですが、じっと待つ狩りではなく、ヨシゴイは常に移動しながら獲物を探索し、見つけると瞬時に首を伸ばして捕らえてしまう訳です。見事な狩の挙動としか言いようがありません。

 

 ヨシゴイ(葦五位)には、もう一つの顔があります。これまで色々な種類の野鳥を見てきましたが、このヨシゴイと言う野鳥は、周りの景色に合わせて姿を変えてしまいます。擬態と言うのですが、忍者が用いる忍法「空蝉」と言うところでしょうか。姿を変えるといっても全く別物に変わるわけではなく、似せるといった方が適当かもしれません。例えば葦原の上では葦の穂先に止まって同化してしまいます。同化している状態では、普通の人の目でみた場合、存在するかしないかの判別が大変困難になります。写真では、枯れ木に同化して首を伸ばし枝に止まるヨシゴイと水田で採餌するヨシゴイを掲示します。

撮影場所;神奈川県平塚市 田圃

撮影日;2019.6.23