天龍村の役場屋上に今年も四羽の仏法僧の雛が誕生!出生届は隣家の僧侶が?村民一丸で取り組む保護活動は、ブッポウソウの心をつかめるか。

 ブッポウソウ(仏法僧)に魅せられ、昨年に続いて今年も天龍村を訪ねました。昨年は電車を乗り継いで一人で出掛けましたが、今年は先輩カメラマンのMさんと車で一緒に出掛けました。

 

 天龍村では、約20年前、1997年になりますが、ある村人の一人が、緑の濃くなる五月頃毎年やって来て八月の終わりにはいなくなる、綺麗な青色の小鳥は何だろうと調べたそうです。するとこの小鳥は大変珍しいブッポウソウ(仏法僧)と分かり、しかも数が少なくなっている絶滅危惧種に指定されていることも分かり、それ以来、村人一丸となって野鳥の保護活動に取り組んで来たとのことです(☆)。

 

 ブッポウソウの分布は、ユーラシア大陸東部とオーストラリアで繁殖し、日本には夏鳥として飛来して本州や四国、九州で繁殖し、冬季には東南アジアに帰っていくとのことです。平地から山地まで分布し、樹洞などを巣にするとのこと、食性は動物食で昆虫などの獲物を空中で捕食します。捕食は、木の天辺などにいて獲物を捕ると同じ場所に戻る習性があるとのことです(☆☆)。

 

 Webでブッポウソウ(仏法僧)を検索すると必ず天龍村の名前が出てくるほど有名です。年々、保護活動が功を奏し、ブッポウソウ(仏法僧)少しずつ増えているとか、また渡りが定着するまでは試行錯誤の連続だったそうです。例えば、初めたばかりの頃、卵を抱くための巣箱の大きさは、そして巣に入る穴の大きさはどうするかとか、また肝心のブッポウソウが使ってもらうためにどこに架けるか等々、分からないことが多く、野鳥に詳しい山科鳥類研究所にも足を運んで教示してもらったとのことです(☆)。

 

 天龍村の役場屋上に設置された巣箱には、今年も四羽のブッポウソウ(仏法僧)の雛が誕生しました。役場の隣にある、お寺から巣箱に餌を運ぶブッポウソウの様子を写真に撮ることが出来ます。このお寺、自慶院という曹洞宗のお寺ですが、私たち野鳥写真家のために境内での撮影を認めてくれています。実は、仏法僧、同じ僧侶の仲間としてではないと思いますが、こちらの住職、仏法僧保護活動の中心人物なのです。

 

 管理人たちが写真を撮影する日の2日、天龍小学校の児童全員が自慶院を訪れ、仏法僧に付いて学習していました。巣箱内部の様子は、お寺にもライブ配信されており、一通りの説明が終わった後、住職から子供たちに親鳥が雛に餌を与える様子を見せ、私たち人間も親子の絆は同じと言うことを説明されていました。大きくなっても忘れることはありませんね。

 

 天龍村の役場屋上で産まれた四羽のチビちゃん達、出生届は済んだでしょうか。仲間の僧侶(住職さん)の優しい保護活動には感謝です。山間に囲まれた天龍の故郷を忘れることなく、来年も元気に戻って欲しいものです。

注)☆印は、自慶院住職による。☆☆印は、Web版ウィキペディアのブッポウソウの解説を参照しています。

撮影場所;長野県下伊那郡天龍村平岡 自慶院

撮影日;2019.7.1~7.3