平安時代に紫式部の源氏物語にも登場した「ヒクイナ(緋水鶏)」、令和の世でも平塚市の田圃で古(いにしえ)の鳴き声が心細げに響く。

 なかなか梅雨が明けない関東地方、久し振りに晴れ間を見せて待ちに待った野鳥を撮影に出掛けました。この時期は目ぼしい夏鳥の撮影が一段落して、渡りのシギ類を待っている状態ですが到着はまだのようです。今日は、なかなか撮れない、ヒクイナ(緋水鶏)に挑戦してきました。

 

 Webでウィキペディアのヒクイナを検索すると、紫式部の源氏物語(明石)や兼好法師の徒然草の中でも、その独特な鳴き声に思いを寄せ古典文学の世界でも取り上げられていたようです。昔の文人達が私たちのように野鳥を追い掛け回していたわけではありませんので、警戒心の強いヒクイナの姿形は恐らく見ることは出来なかったことでしょう。

 トン、トン、トン、トンと戸を叩くように強弱を付けて心細げに聞こえてくる鳴き声に、昔の文人たちは心の琴線を揺り動かされたのかも知れません。

 

 古典文学にも登場するヒクイナ(緋水鶏)ですが、夏季に繁殖地として中国東部、台湾、日本などで、冬季にはインドシナ半島、中国南部、日本(本州中部以南)に渡って越冬を行うとのこと(☆)、この野鳥は限られたエリアでしか見られないようです。生態は、湿原、河川、水田などに生息し、食性は動物食の強い雑食で昆虫、軟体動物、カエルなどを食べるとのことです(☆)。

 

 今回、三年振りのヒクイナとの出会いでしたが、改めて見て見るとその名前のとおり、首と頭の周りは燃えるような緋色をしていますが身体の側面は赤褐色で、見る位置によっては黒く見え全く目立ちません。また、水田の中に入られると稲の背丈よりも低いため移動しているのが分からなくなります。

 

 一緒になった地元のカメラマンさんの話によれば、メスとオスの二羽がいるということで、抱卵をしているようです。抱卵期間は20日間、ヒクイナはメスとオスが交代で行うそうです(☆)。元気に雛を孵して欲しいですね。

 

注)☆印は、Web版ウィキペディアのヒクイナの解説を参照・引用しております。

撮影場所;神奈川県平塚市

撮影日;2019.7.10