エゴノキにたわわに生ったエゴの実を捥ぎ取り、冬に備えて食料を備蓄するヤマガラ(山雀)は、飢饉を生き抜く力を備えた野鳥の先導者。

 今後近いうちに発生すると考えられる、首都圏直下型地震。大規模な地震災害では、広範囲に被害が及びますので、最低3日間くらいは自助努力が必要になります。生活していくうえで重要な要素は食料ですが、3日間程度の備蓄はできていますか。

 

 野鳥の世界では、食料の備蓄活動をしている小鳥がいます。実は、今回取り上げるヤマガラ(山雀)がそんな行動を取っているのです。ヤマガラは、常緑広葉樹や落葉広葉樹に生息し、食性は雑食で昆虫、クモ、果実などを採餌し、夏季は動物食、冬季は果実などを食べており、堅い巣実は、2本の足に挟んでクチバシで器用にこじ開け中身を食べます(☆)。

 

 公園などには、エゴノキと言う中低木の木が植えられています。この木には5月頃白い花を咲かせ、咲いた花は9月頃になると黄緑色の丸い果実を沢山つけます。エゴノキの由来は、喉や舌を刺激して「えぐい」ことに由来するとか。果実は、有毒なエゴサポニンを含む毒があり、その成分は11月を過ぎると急激に減少するとのことです(☆)。

 

 ヤマガラが果実に毒成分があるのを知っているかは分かりませんが、ヤマガラの好物は種子で、両足で果実を挟み、果実をはじいて堅い殻付きの種子を取り出し、殻を割って種の実を取り出して食べます。

 

 ヤマガラが称賛されるのはここからで、食べないで持ち帰り、自分のテリトリー内の木の根元に埋めて備蓄しておくとのことです。冬になると昆虫も少なくなり、ましてや果物などは期待できようがありません。食料が枯渇する冬季は、あらかじめ備蓄しておいた殻付きの種子を掘って飢えを凌ぐわけです。

 何気なく見ていたヤマガラの行動、DNAに組み込まれているとは思いますが、生きるための知恵を教えてもらったような気がします。

 

 この行動を知ってヤマガラを観察していると、果実のツルの部分を咥えて持ち帰るのもあるのですが、この時期、果実の生っているツルの根元部分を咥えてちぎり、しきりに地面に落とす行動をとるのです。地面に落ちれば、エゴサポニンの毒のある果実部分は腐って無くなりますし、何よりも自然の力で早く殻付きの種子を取り出すことができる訳です。なかなかの知恵者なのです。

 

 エゴの実のエゴサポニンは、寒さに当たると急激に減少するようです、これからヤマガラが両足にエゴの実を挟み、器用に種子を取り出して殻を割り、実を食べる光景が見れそうです。

 

 注)☆印は、NPO法人日本パークレンジャー協会、No.24ヤマガラとエゴノキの実、及びWeb版ウイキペディア「ヤマガラ」の解説を参照、一部引用しています。 

撮影場所;神奈川県綾瀬市 蟹ヶ谷公園

撮影日;2019.9.3