夏鳥として繁殖のために来ていた、カッコウ属の「ジュウイチ(十一)」。任務を全うして越冬地の東南アジア方面へ、元気に旅立ち。

 ジュウイチは、4月頃夏鳥として東南アジア方面から繁殖のために飛来し、5月から7月にかけオオルリやコルリ、ルリビタキの巣に托卵して雛をかえし、冬季には越冬のため再び東南アジア方面に渡って行く野鳥とのことです(☆)。今回、渡り途中のジュウイチ(十一)を先輩カメラマンのTさんが偶然に発見し、教えて頂いて撮影することができました。

 

 ジュウイチ(十一)は、カッコウ科、カッコウ属に分類され、ホトトギスよりも少し大きな鳩くらいの大きさ(32cm)で、ジュウイッチ、ジュウイッチと繰り返して鳴く鳴き声からその名が付いたそうです(☆)。別の和名でジヒシンチョウ、慈悲心鳥とも呼ぶとか。こちらの由来は定かでありません。冒頭のとおり、カッコウ属なので自身では雛をかえさず、オオルリやコルリなどの巣に托卵して雛をかえします。また、鳴き声は托卵の時期に限られ、渡来した時には鳴かないために、姿を表に出さないミステリアスな野鳥で、見つけることが困難なため、野鳥写真家の間では撮影難易度の高い垂涎の野鳥に指定されています(☆)。

 

 その分布は、インド、インドネシア、カンボジア、タイ、フィリピン、ミャンマー、ブルネイ、マレーシア及びロシア東部、大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国、中華人民共和国そして日本などです。夏季にはユーラシア大陸の東部で繁殖し、冬季には東南アジア方面に渡って越冬する。日本には九州以北に渡ってきて繁殖するとのことです(☆)。

 

 山地の広葉樹林に生息し、食性は動物食で昆虫類、節足動物で(☆)、カッコウやツツドリなどと同じように毛虫などを捕食するようです。観察をしていて関心することは、眼力の鋭さです。葉に集る毛虫が地上に落ち、それを捕食するのですが、2メートルは優に超える枝の上から見下ろしていて一瞬舞い降り、舞い上がった時には必ず獲物の毛虫を咥えているのです。私たちが真剣に探しても見つけられない毛虫をいとも簡単に見つけ出してしまう驚異の眼力です。

 

 大きな真ん丸の目と金色のアイリングが目立ち、胸から腹にかけて赤みを帯び、背中は薄青灰色で白い帯模様が特徴的です。今回撮影したジュウイチは若鳥なのでしょう、胸の一部が少し赤い程度でした。また、鳥の足は四本が基本で、枝に止まる場合、前三本と後一本の三前趾足(さんぜんしそく)ですが、カッコウ類は、前二本と後ろ二本の対趾足(たいしそく)が特徴とのことです(☆☆)。小枝に乗ることが多い小鳥の場合、前足3本と長い後ろ足一本で掴むのがしっかり固定できますが、太い幹にも乗ることが多いジュウイチなどは、前足2本(うち1本は長い)と後ろ足2本で掴む方が安定性が良く「理」に適っています。毛虫を捕らえて枝止まりのジュウイチは、前足二本で掴んでいるのが分かります。

 

 ウィキペディアなどを見ても解説が少なく、ある意味、謎に包まれたジュウイチという野鳥を撮影できたことは大変な幸運でした。教えて頂いた先輩カメラマンのTさんそして同行して野鳥のポイントを指示してくれたMさんには感謝です。今回の撮影地は、付近への迷惑が考慮されることから詳しい場所は差し控えさせて頂きました。

 

 渡りの途中で逗留していたジュウイチ(十一)ですが、栄養補給を終え、東南アジア方面へ無事旅立ったそうです。来年も元気に姿を見せてくれることを祈っています。

 

注) ☆印は、Webウィキペディアのジュウイチの解説を参照。☆☆印は、ジュウイチ<110種類目の野鳥>年金暮らしの団塊世代ブログを参照し一部引用させてもらいました。 

 

撮影場所;神奈川県

撮影日;2019.9.中旬