横浜市の都市公園には昨年に続き、冬鳥の珍鳥「アリスイ(蟻吸)」が元気に渡来。モズとの縄張り争いに勝利し、今年の冬も元気に越せるか?!。

 冬鳥の珍鳥、アリスイ(蟻吸)が逗留先である横浜市の都市公園から旅立ったのは今年の3月のことでした。その個体かどうかは定かではありませんが、今年の冬も元気に顔を見せてくれました。到着したてで湿地の形状も変わり、慣れないこともあってか葦の中に身を潜め、なかなか表には出てきてくれません。

 

 この公園には毎年色々な種類の冬鳥たちがやってきます。現在到着しているのは公園入り口近くの池に「アトリ」が二羽、管理人は確認できていませんが、野鳥仲間の話で「ウソ」も渡来しているようです。「アリスイ」の撮影できる湿地には雄と雌の「ジョウビタキ」が見られました。雌のジョウビタキが先に到着しているらしく、雄が侵入してくると激しく攻撃し追い出していました。

 

 午後二時を回った頃、突然葦の中から飛び出した野鳥がアケビのツルの絡まる枯れ木に止まりました。待ちに待ったアリスイです。実はこの時、管理人はアリスイの居場所が分からず探していた状態だったのですが、一羽の雄モズがアリスイの止まる枯れ木の梢に止まりました。偶然にもモズの動きを追いかけているうちアリスイ発見です。写真を後から拡大して見ると、モズとアリスイの激しい攻防が写っていました。このアケビの蔓が絡まる枯れ木は、雄モズのテリトリーを宣言するソングポストでした。この梢によそ者が留まっていたため、このエリアを縄張りとする雄モズが激しく抗議したと言う構図です。

 

 モズは高い枝の上から尾と羽を広げてアリスイを見下ろし、アリスイも全身の羽毛を逆立たせて見せ今にも飛び掛からんばかりの態勢を取り、両者はしばらく睨み合いが続きました。結局、アリスイの迫力が勝り、モズが飛び去って行きました。体長だけを比較すると、アリスイが17センチメートルから18センチメートル、モズは19センチメートルから20センチメートルなので(☆)、アリスイが小さいように見えますが、尾を省けばアリスイの方が大きいように感じます。野鳥の思わぬ攻防を撮影することができました。今回の攻防で雄モズとは円満に共存が約束できたのかも知れません。

 

 アリスイは、キツツキ科アリスイ属でその分布は、アフリカ大陸、ユーラシア大陸、イギリスに分布し、日本では夏季に北海道や本州北部で繁殖し、冬季は本州中部以西に渡り越冬するとのことです(☆)。日本野鳥の会が公表しているアリスイが撮影された都道府県を数えると28道府県で、撮影の難しい野鳥の一つに数えられ綺麗な鳥とは思えませんが、珍鳥として野鳥撮影家の間では人気があります。この冬を元気に乗り切って欲しいものです。 

 

注)☆印は、Web版ウィキペディアより「アリスイ」の解説を参照、また、日本野鳥の会、アリスイの撮影道府県を参照。

撮影場所;神奈川県横浜市戸塚区 M公園

撮影日;2019.11.2