伊豆沼・内沼は、オオハクチョウが乱舞する白鳥の湖。マガンが飛び立った広大な沼は、オオハクチョウ達が独占。仲良しカップルは春を前に求愛の語らい。

 伊豆沼近くの田圃でオオハクチョウを撮影していると、伊豆沼・内沼の農家さんから、「台風19号の大雨被害を受け、刈り取る前の稲が水没し出荷ができなくなった」と話していました。台風の爪痕はこんなところにも影響していたのです。

 

 農家さんの話では、刈り入れ前の水田が水没したけれどもオオハクチョウ達は物ともせず、水中に長い首を入れて水没する稲穂を食べてしまったと嘆いていました。今年はオオハクチョウ達にとって思わぬ幸運だったようです。撮影していた田圃では、二羽の親鳥のオオハクチョウが三羽の幼鳥を優しく見守り、子供たちは仲良く刈り取った稲株から生える新芽を美味しそうに食べていました。ハクチョウはマガンなどと違って群れで行動しませんが、良く観察すると一家族がいると別の家族が舞い降りてきて合流しているようでした。

 

  日本に渡来するオオハクチョウは、シベリヤやオホーツク沿岸で繁殖し、千島列島経由で飛来し越冬するとのことです。越冬先の日本には、遠いシベリアから3,000Kmの道程を途中休憩しながら2週間程度で日本に渡って来るとのこと。飛翔中は、追い風や気流に乗ったりしながら平均時速は50Kmで飛んでいるとのことです(☆)。

 

 日本でもオオハクチョウやコハクチョウの越冬先は限られた地域で、管理人は昨年、栃木県の大田原市羽田沼(はんだぬま)でオオハクチョウやコハクチョウを観察しました。その中で伊豆沼・内沼がオオハクチョウやコハクチョウの渡来地として有名な場所であることを知り、是非訪ねて見たいと思っていて今回実現したものです。

 

 栃木県大田原市の羽田沼には、オオハクチョウやコハクチョウが数百羽程度の渡来しているようですが、国の天然記念物「ミヤコタナゴ」(日本古来のフナ)の生息地に指定され、餌やりができなくなり年々飛来数が減少しているとのことです。管理人が訪れたとき篤志家の農家さんがハクチョウ達のために水田を開放していたのが忘れられません(☆☆)。

 

 伊豆沼・内沼に渡来する白鳥の数は、環境保全財団が発表する結果によれば、2019.11.7付現在で2,855羽とのことでした。伊豆沼周辺には広大な田圃が広がり、高圧電線などの造形物もなく、沼を覆う蓮の根など食べ物が豊富で、生息するには恵まれた環境と言えます。沼にいる独身のハクチョウたちは次々とカップルが成立し、「コォー」と鳴きながら首をすり寄せ、愛を育んでいました。

 

 宿泊した栗原市直営の「伊豆沼交流センター」では、マガン達とハクチョウ達が仲間同士で騒ぎ立てる鳴き声や飛び立つ羽音が子守歌となりました。新宿からは新幹線のはやぶさを使えば2時間30分、地元での撮影を楽しむだけでなく、少し足を伸ばして、ハクチョウやマガン等の撮影を是非楽しまれることをお勧めします。訪ねることが被災地への復興のための間接的な支援につながると信じています。

 

注)  ☆印は、Web版ウィキペディアのオオハクチョウの解説を参照し一部引用しています。☆☆印は、「鳥の宴」ブログより、2019.1.23付け、シベリアから栃木県大田原市羽田沼(はんだぬま)に来た、オオハクチョウとコハクチョウ参照。 

伊豆沼の蓮の上を飛翔するオオハクチョウ(大白鳥)のカップル。昼間の伊豆沼は、まさに「白鳥の湖」。

撮影場所;宮城県栗原市・登米市 伊豆沼・内沼サンクチュアリ

撮影日;2019.11.14~15