「鹿児島県のツル」で有名な出水市に遠征。昨年よりも千羽増え、1万5千4百羽の「ナベヅルとマナヅル」等がツル観察センター周辺に集結。朝日と共に塒(ねぐら)から周辺の田圃に散会。

 昨年に引き続き、「ナベヅル(鍋鶴)やマナヅル(真鶴)」の渡来地として有名な鹿児島県出水市を訪ねました。実は昨年の暮れ、突然パソコンの具合が悪くなりハードデイスクにため込んだナベヅルなどの写真データが読み取れなくなるアクシデントに見舞われました。今回は、データー復旧費用を掛けるつもりで再挑戦を行ったものです。

 

 ナベヅルとマナヅルの生態は、中国東北部やロシアの境を流れるアムール川流域とそれよりやや北の地域で繁殖し、朝鮮半島、中国揚子江流域、そしてわが国にはここ出水市や山口県の周南市に渡来して越冬するとのこと。繁殖地は、山沿いや谷部にある苔の多い湿原とのことですが、開発でそうした環境が少しずつ無くなりつつあるそうです(☆)。渡来地の出水市では、水田に水をためたり、人口の沼を用意してツルの保護に当たっていました。

 

 ナベヅルは世界の生息数が一万羽程度、マナヅルの場合は世界の生息数は五千羽から六千羽しかいないそうですが、今回訪れた鹿児島県の出水市には、ナベヅルは1万4千羽、マナヅルは昨年よりも半減して1千5百羽、少数ですがカナダヅルやクロヅル、ナベクロヅル等合計して1万5千4百羽が渡来しているとのことです(☆☆)。

 

 昨年同様、鹿児島空港からレンタカーを借りて出水市のツル渡来地を目指し、途中の米ノ津川河口や東干拓地を観察して西干拓地のツル観察センターに向かいました。今回はツルばかりでなく、九州でしか見られないツクシガモやミヤマガラス、コクマルガラスに出会えることを目標にしたからです。ツクシガモは証拠写真程度でしたが、ミヤマガラスやコクマルガラスに出会うことができました。

 

 昨年はツルの撮影で三脚を立てただけで飛ばれてしまいましたので、今年は車の中から撮影することにしました。近い場所にいる個体は警戒して飛んでしまいますが、30メートルくらい離れていれば逃げることはありません。ツルを怖がらせないためにも三脚の使用は止めるのが良さそうです。道路わきにいるツルなどは、小鳥などよりも大きいので標準レンズでも間に合ってしまいます。

 

 今月の初めまでスペインのマドリードではCop25が開催され、温暖化対策を地球環境問題として捉え、気候変動のもたらす影響を地球規模で論じる会議が行われていました。気候変動は野鳥の生態にも影響しており、今まで見れた野鳥が見えなくなったり、逆に温暖な地域にしかいなかった野鳥が良く見られるようになった、と言うことが現実になっています。

 

 出水市ではツルの保護を通して環境保護に努めていますが、地域の方々の協力なしには成し遂げられません。国が指定する鳥獣保護区では小麦や魚類等の給餌が毎日行われていました。野鳥観察の愛好家の一員として深く感謝いたします。

 

注)☆印は、ウェブ版ウェキペディアのナベヅルとマナヅルを参照いたしました。☆☆印は、出水市ツル観測調査を参照。

遠いシベリアから越冬のため渡来した、ナベヅルとマナヅル。

撮影場所;鹿児島県出水市荘 ツル観察センター付近

撮影日;2019.12.16~17