境川遊水地公園のビオトープの一角に「ジョウビタキ(尉鶲)」雄が渡来中。葦原を開いてできた水路を縄張りに、カッ・カッ・と低く鳴きながら定期巡回。

 昨年、境川遊水地公園に隣接する今田遊水地が整備され多くの野鳥撮影家はそちらに流れたため、当該の境川遊水地はすっかり来訪者が少なくなりました。それでも、何人かのカメラマンは葦の梢の虫を捕食するオオジュリンを狙いカメラを向けていました。管理人が注目したいのは、この葦原を開いてできた水路を縄張りとするジョウビタキの雄です。

 

 昨年、冬の始めに八王子市の長池公園で見かけたジョウビタキの雌を紹介しましたが、今回は、和名の由来ともなる「ジョウビタキ(尉鶲)」雄について取り上げたいと思います。「尉鶲」の「尉」は、自衛隊の階級を表す大尉や少尉など音読みでは、と読む他に常用漢字外でジョウと読みます。また、「尉」は、炭火の白い灰という意味があり、銀髪を表すとのことです(☆)。オスの頭は白く銀髪色をしていますので納得できます。野鳥の名前は、色とか姿形を捉えて分かりやすい物がある反面、ジョウビタキのように一ひねりしている物もあり、先人の苦労が偲ばれます。また、ヒタキの意味は、ヒタキ科の鳥というよりも、カッカッと鳴く鳴き声が火付け石を叩く音に似ていることから、火炊き・ヒタキを意味し、"銀髪をしたヒタキ"と名付けられたようです(☆)。

 

 ジョウビタキの分類は、ヒタキ科若しくはツグミ科に分れるそうですが、境川遊水地に渡来しているジョウビタキは、背伸びして辺りを警戒するその様子からツグミに近いものでした。時折、小刻みに尻尾を左右に振りますが、ヒタキ類のように尻尾を立てたり、上下に振ったりということはありません。

 

 ジョウビタキの分布は、チベットから中国東北部、沿海州、バイカル湖周辺で繁殖し、冬季には日本、中国南部、インドシナ半島に渡り越冬し、韓国は留鳥とのことです。日本には冬鳥として全国に渡来し、北海道を始めに一部の地域では繁殖も確認されているそうです(☆)。

 

 平地から低山の開けた場所に生息し、昆虫類やクモ、冬にはピラカンサの実など木の実も食べるようです(☆)。非繁殖期は単独行動をしていて、同じ仲間でも排斥する傾向があり、自家用車のサイドミラーに映った自分の姿にも敵と見て、ミラーを突いたりするのを見かけることがあります。近くに寄って来るので人懐こいと感じたりすることがありますが、実際は縄張りに侵入していることを咎めて近づいていると思われます。

 

注)    ☆印は、Webウィキペディアのジョウビタキの解説から参照し、一部引用させて頂きました。

「ジョウビタキ(尉鶲)」の雄(3枚)と雌

撮影場所;神奈川県横浜市泉区下飯田 境川遊水地公園

撮影日;2020.1.30        ※雌のジョウビタキは、2020.1.29撮影 厚木市玉川河岸