座間谷戸山の水辺で越冬中の「ミソサザイ(鷦鷯)」。地鳴きをしながら移動中、花の香りに春を感じて山へ戻る引き金か?

 今月は久し振りに渡来しているヒレンジャクに夢中になり、そちこちの現地に顔を出している日が続きました。久し振りに谷戸山公園を訪れ、冬鳥として越冬中の「ミソサザイ(鷦鷯)」に会いに行ってきました。

 

 公園は、新型コロナウィルスの影響もあり、車で訪れる人が多く駐車場はどこも満杯状態でした。訪れる人は大半がマスクを着用し、また、学校も休校のためか何時になく子供たちの姿が目につきました。感染の一つとして、換気の悪い閉鎖空間が挙げられており、家庭に閉じ込持っているより公園のような開放空間で伸び伸び過ごした方が健康的と言えましょう。

 

 目的地には先客のカメラマンさんが三脚にカメラをセットして待っておられました。ベンチに座って暫く待っているとドカドカと2~3人のカメラマンさんが来られ、シャッターを切る音が。レンズの方向をよく見ると微かな動き。ボヤっと見ていただけでは絶対見分けられない保護色のミソサザイ。更に周りが暗いため余計に見つけ憎いのです。お目当ての野鳥は、時折りジジッと地鳴きをしながら移動しており鳴き声を頼りに見定めるのですが、なかなか肉眼では見分けるのは困難です。

 

 ミソサザイは、日本の野鳥の中ではキクイタダキ(10cm)に次いで二番目(11cm)の最小種の一つと言われています。短い尾羽を立てて上下左右に小刻みに震わせバランスを取っています。ミソサザイの分布は、ヨーロッパ、アフリカ北部、西アジア、中央アジアからロシア極東部、東南アジア北部、中国、台湾、朝鮮半島、日本、北アメリカ西部及び東部で繁殖し、北方で繁殖した個体は冬季には南方へ渡って越冬するとのことです(☆)。日本では留鳥として周年生息し、亜高山帯から高山帯で繁殖するとされています。また、一部の個体は秋から春先にかけて低山帯や平地に降りて越冬しているとのことです(☆)。

 

 日本では二番目(11cm)に小さい野鳥で、体重は7~13g。和名のサザイは、小さい鳥を指す「サザキ」が転じたものと考えられています。谷川を指す「溝(ミゾ)」の「些細(サザイ)」が訛ってミソサザイと呼ばれるようになったとの説もあります(☆)。撮影現場では、通りすがりのご婦人が年配のカメラマンさんに"何でミソサザイと呼ぶの"との答えに、「味噌のような色をしているから」だと教えていましたが、「谷にいる小さな小鳥」が正しいようです。学名の"troglodytes"は、岩の割れ目に住むもの、という意味だそうです(☆)。

 

 小さな野鳥の一つですが、ヨーロッパ各国の伝説には「鳥の王様」として崇められており、日本ではアイヌ民族の間でクマを退治する伝承があるとのこと(☆)。小さくてもピリリと辛い山椒のような役割をする野鳥のようです。食性は、動物食で昆虫やクモ類を捕食します。ミソサザイは、5月~8月までが繁殖期でそれ以外は単独で行動しています。森の中のがけ地や大木の根元などに巣を作るとのことです(☆)。

 

 4月に入り森の奥に行くと渓流の音に負けじと、ミソサザイが岩の上に乗って大きく開けた口を震わせ、雌へアピールする姿を目にすることがあります。管理人の住むエリアから近くには日向渓谷が有名で、暖かくなった5月頃から抱卵と子育てが始まります。越冬している谷戸山公園のミソサザイ、初めて見たというご婦人からは、可愛いの声が。山に戻っても子供たちを連れてまた来て欲しいと願っています。

 

注)   ☆印は、Webウィキペディアのミソサザイの解説を参照し、一部引用しています。

撮影場所;神奈川県座間市 座間谷戸山公園

撮影日;2020.3.13