さいたま市の見沼区の田圃に数少ない冬鳥として中国からのお客さん、「オオカラモズ(大唐百舌鳥)」が越冬中。周辺農道は野鳥撮影家の車両がズラリ。

 モズの中では一番大きいとされる「オオカラモズ(大唐百舌鳥)」が、さいたま市見沼区の田圃(☆)で越冬していると鳥仲間のM.Hさんから情報を頂き、遅れ馳せながら鳥仲間先輩のTさんと一緒に訪ねて見ました。

 

 周辺は市街地から少し離れた場所になり、田圃や畑が広がる間を農道で区画された長閑な田園地帯です。この長閑さを打ち破るように農道を野鳥撮影家の車両で埋め尽くし、一時は要請を受けた地元警察署のパトカーまで出動する騒ぎになったそうです。周辺の農家さんはさぞ驚いたことでしょう。管理人達が訪ねた時も下火になったとは言え、20台程度の車両が周辺を占拠していました。オオカラモズ人気は半端ではありません。折しもコロナウィルスの感染防止を避けるため電車を控え、自家用車で来られる方が多かったのかも知れません。

 

 オオカラモズの分布は、中国北部から中部、朝鮮半島北部で繁殖し、中国南部で越冬するとのこと。日本には冬鳥として数は少ないが渡来するとのことです(☆☆)。珍鳥の部類には入りますが、迷鳥ではなさそうです。

 

 日本野鳥の会の分類に基づくモズの種類は、名前のとおり一番小さなチゴモズ(稚児百舌鳥)の18.5cm、次いで普通のモズやコウゲンモズ、アカモズの20cm、オオモズ24cm、タカサゴモズ25cm、オオカラモズ31cmとオオカラモズが群を抜いた大きさになっています。

 

 生息の場所は農耕地や草原で、繁殖期以外は単独で生活しており、食性は動物食でネズミなどの小型哺乳類、爬虫類、カエルなどの両生類を捕食している(☆☆)。頭から背中、腰にかけて灰色をしており、腹部は白色、尾羽が長く翼は黒色をしている。オオモズと大きさを除いて姿・形が似ていますが、オオモズは初列風切り基部だけが白色なのに対してオオカラモズは次列風切り基部も白色をしており、羽を広げた時半分まで白いのがオオモズ、全体に白いのがオオカラモズということになります(☆☆)。

 

 管理人達もコロナウィルスの感染を避けるため自家用車で現地入りしました。付近の皆様には大変なご迷惑をおかけしたこと深くお詫び申し上げます。さて、オオカラモズの場所は直ぐ分かりました。現地に入った途端、カメラマンや農道に停車している沢山の車両が目に飛び込んできましたので。

 

 大きい鳥なので600mmもあれば十分かと思っておりましたが、知人の勧めは1000mmは欲しいとのこと。現地に入って納得です。オオカラモズが常時待機しているお気に入りの木があるのですが、そこまでが遠いのです。そこを拠点にして採餌のため飛び回るのですが、そこから先は運次第ということになります。例えば餌となるものが自分の近くにあれば、モズはそこに来ますので大きく写すことが出来る訳です。そんな幸運は一握りで、陣取った場所から撮影していくためにも高倍率のレンズは必要不可欠です。ただ高倍率の欠点は距離があるため大気の揺らぎを受け易く、ピントが甘くなるのを承知しなければなりません。

 

 件のオオカラモズは、カエルが好きなようで木の上から監視していて、獲物を見つけると急降下し捕獲していました。餌はその場て食べないで、お気に入りの木に持ち帰り樹上で食べます。お行儀が良いのです。獲物を捕食した後は少し休みを取りますが、直ぐ次の捕食活動が再開されます。

 

 「オオカラモズ(大唐百舌鳥)」。日頃、茶色のモズしか見ていないため、灰色と白色のモズは結構新鮮に映ります。飛翔する様子も、黒色の扇に風切りの近い部分には翼全体をとおして白色のラインが走り、扇を二枚広げたように飛んでいる様子は優雅さを感じるほどです。毎日、野鳥撮影家が入れ替わり来てストレスは溜まっているかも知れません。これに懲りずに好みの蛙を沢山食べて栄養を付け、来年も顔を見せて欲しいものです。

 

注)☆印は、埼玉新聞2020.3.8付け朝刊参照。 ☆☆は、Webウィキペディアのオオカラモズの解説を参考に一部引用。

撮影場所;埼玉県さいたま市見沼区

撮影日;2020.3.19