都会のチョウゲンボウは恐るべし!!水道橋アーチの鉄管の中で今年も無事に雛を育て上げ、近くの森では朝早くから幼鳥の飛翔と採餌の訓練。

 通常、野生のチョウゲンボウの営巣場所は、ハヤブサなどと同じように断崖の横穴や岩棚、樹洞などを利用して小枝を運び巣を作りあげるそうです(☆)。が、ここの営巣場所、田園を横断する水道橋があり、何と川を横断するため補強用のアーチ内部に巣を作り、そこで雛を育てているのです。昨年に続いてすっかり定着してしまいました。

 

 詳しい場所は控えますが、横浜市の飲水送水管が田園を横断するのに水道橋が通っており、途中幅員のある川を横切るために専用の橋が架けられています。「チョウゲンボウ(長元坊)」は、その橋を補強するアーチの上部に所々作られた空気穴を上手に利用して出入りし、昨年に続いて二羽の雛を孵したようです。

 

 空気穴は地上から7から8メートル位はあると思われ、形は違いますが断崖の横穴と見ても良いでしょう。周辺は田園が広がり小さな森が点在して獲物は豊富です。しかも鉄管の中と言うこともあり雨風もしのげ、天敵に襲われる心配もありません。開発が進み「チョウゲンボウ(長元坊)」の営巣場所は狭まるばかりですが、都会で暮らす野鳥は工夫を凝らして、考えられない場所も子育てに活用してしまうようです。

 

 「チョウゲンボウ(長元坊)」は、ユーラシア大陸やアフリカ大陸に広く分布し、寒冷地で繁殖した個体は冬季に南方へ渡り越冬するとのことです。日本では夏季に本州北部から中部で繁殖し、冬季は寒冷地に残る個体と暖地に移動する個体に分かれるとのことです(☆)。

 

 生態は、農耕地や原野、山林など低地から高山帯まで広い範囲に生息し、単独かつがいで生活するとのこと。食糧には小型の鳥類やリス、ネズミ等のげっ歯類、ミミズ、カエル、トカゲなどを捕食。ホバリングしながら獲物を見つけると急降下して捕食するとのこと(☆)。猛禽類はすべてそうですが、視力が良く、特にチョウゲンボウは紫外線を識別(☆)することが出来、リスやネズミの捕食に役立てているそうです。

 

 チョウゲンボウの子供たちは、先週まで鉄管の内側から外の景色を眺めるだけでしたが、そろそろ独り立ちの時、親鳥は徐々に食べ物を少なくしていきます。自分から餌を探す訓練が始まっているのです。暫くは親から餌を貰えますが、それでも飛んで行かないとありつけません。飛翔の訓練を促しているのです。野鳥の子育てプログラム、素晴らしいですね。

 

注)☆印は、We版ウィキペディアのチョウゲンボウの解説を参照及び引用しています。

撮影場所;神奈川県横浜市戸塚区

撮影日;2020.6.17