各地で発見!!色の濃い変異個体の通称、「ベンケイヤマガラ(弁慶山雀)」が東京都下の某所でエゴの実の備蓄活動。

 東京都下の某所に、好物であるエゴノキのエゴの実を狙って、普通の山雀とは少し違う、通称「ベンケイヤマガラ(弁慶山雀)」が、固い殻を上手に抑え、クチバシで突いて実を取り出しその場で食べたり、冬の食糧が少なくなるのに備えて備蓄のため持ち帰りが行われています。

 

 ベンケイヤマガラは、山雀の亜種ではなくあくまでも呼称を表すもので、何らかの理由で色が濃くなった変異個体と見られています。三宅島や八丈島で見られるような暗褐色のオーストンヤマガラに似ていますが、胸に見られる黒い帯がありません。

 

 ベンケイヤマガラとなぜ呼ばれるのか調べて見ましたが確たるものがなく、風のむろさんの野鳥掲示板に2020.10.12付、No.41856で投稿された、きなこワン♪さんが、「山階鳥類研究所の創業者の著書に稀に栗色を帯びた個体が居り、飼育家は之を弁慶山雀と呼んでいると記されている」ことを紹介されています。山階鳥類研究所の創始者は鳥類専門の研究家で元侯爵の山階芳麿であり、著書に「日本の鳥類と其生態」などあります(☆)。どの著書か管理人は分かりませんが、ベンケイを付けた経緯は不明のようです。

 

 エゴノキは、背丈があまり大きくならないことから各地の公園などで植栽されています。落葉小高木で5月から6月頃に花を付け、白い花冠に黄色の雄しべが下向きに房状に花が咲き、やがて青い果実を付けます。この果実は、10月を過ぎると熟しだし、果皮が破れて大きな種子が見えてきます(☆☆)。この種子は殻が固いのですが、野鳥の中でもヤマガラの大好物で、両足で殻付きの種子を抱え込み、殻を上手にクチバシで割って、中の種子だけを取り出して食べます。

 

 エゴの実の若い果実は、有毒なエゴサポニンを多く含んでいるそうです。このエゴサポニン、寒さとともに少なくなることが分かっており、山雀は、熟して種が剥き出しになったものは取り出してその場で食べたり、熟していないものは咥えて持ち帰り、自分のネグラ近くの木の下に埋め備蓄食料にするらしいのです。

 

 ベンケイヤマガラは、普通のヤマガラに交じって群れで行動しており、持ち帰るもの、その場で食べるものの二手に分かれます。持ち帰りの場合には熟していなくても良いので判断時間は殆ど無く、枝に乗って実を咥えるまであっという間で、直ぐに飛び去ってしまいます。エゴの実を捕るベンケイヤマガラもこの二つのパターンで繰り返されており、撮影の狙い目はその場で食べる時になります。これも何とも言えませんが、その場で食べることは殆どなく、違う枝に移動して殻をつつく作業に入ります。ベンケイヤマガラにロックオンしたら移動することを頭に入れておいた方がよいでしょう。

 

 ヤマガラ全般に言えますが、その動きは素早く、牛若丸と弁慶のようにヒラリヒラリと動き回り、追随するのが結構大変です。また、撮影していて気付いたのは、ベンケイヤマガラは、普通のヤマガラのように近くには止まってくれず、枝が多くて遠いところが多いようなのです。それでも何回かのうちにその場で食べるために殻付きの種を咥えて近くの枝に移動して来る時があり、それが狙い目です。

 

注) ☆印は、Webウィキペディアの山階芳麿、☆☆印は、同エゴノキの解説から一部を引用しています。

撮影場所;東京都下

撮影日;2020.10.12