長野県は戸隠の森に、シベリアから渡り途中の「ムギマキ(麦播)」が群れを成し、園内に自生のツルマサキの実を求めて定期周回!!。

 かねてから、キビタキによく似ている野鳥、「ムギマキ(麦播)」を撮影したいと思いながら、予期しないコロナ感染症の流行により計画を諦めておりました。今回、国が進める経済振興として Go to トラベルを活用し、長野市に一泊して秋の渡り鳥である、ムギマキとマミチャジナイを撮影に、長野県は長野市にある戸隠森林植物園を訪ねました。

 

 戸隠森林植物園は、天岩戸に由来する創建から二千年の歴史を持つと言われる、由緒ある戸隠神社の一角に位置しています。管理人は初めて戸隠を訪ねましたが、日曜日でもあるためか山奥にも関わらず参拝に訪れる人たちで賑わっていました。その賑わいに加担したのが野鳥撮影家たちであったかも知れません。戸隠神社奥社の鳥居を潜ると直ぐにブナの木にツルマサキが絡んでおり、赤い実をつけていて、これを食べに「ムギマキ(麦播)」が来るのです。

 

 ムギマキは、スズメ目、ヒタキ科の小鳥でオスは夏鳥のキビタキのオスによく似ています。大きさもキビタキがやや大きく13~14センチ、ムギマキはほぼ同じくらいの13センチメートルです。その違いは眉の後方の斑紋で、黄色がキビタキ、白色がムギマキです。ロシア東部からオホーツク海沿岸、サハリン、アムール、中国北東部で繁殖し、冬季は中国南部、東南アジア方面に渡り越冬するとのことです(☆)。日本には旅鳥として春と秋の渡りの時期に通過するが数は少ない。日本海側ではよく観察されているようです(☆)。ムギマキの渡りの途中立ち寄り先として、長野県の戸隠の森は毎年のように訪れていることが、多くの野鳥観察者から報告されています。

 

 ムギマキは、全長が13センチメートル、オスは背面が黒く、眼の後方の斑紋が白く目立ち、喉から腹はオレンジ色、下腹は白色です。メスの背中はオリーブ褐色、眉班は不明瞭、喉から腹はオスに比べて淡いオレンジ色をしています。オスは頭から背中まで黒いため、眼の位置が目に光が当たらないとはっきりしませんが、メスは黒くないためはっきりしています。

 

 繁殖地は、針葉樹林に生息し、つがいで縄張りを持つ。高木の枝の上に針型の巣を作る。昆虫類や節足動物を食べ、ツルマサキやゴシュユの実も食べます。戸隠森林植物の森にはツルマサキが随所にあって実をつけており、園内のツルマサキのポイントを群れで移動していました。渡りの時期は、群れで行動するようです。鳴き声はピピピと囀ります(☆)。

 

 管理人にとってムギマキは初見になりますが、警戒心が強く撮影難易度の高い野鳥と言えるでしょうか。ツルマサキの熟した果実は花弁が破れ実が露出し、ムギマキはこれに狙いを定めて取りに来ます。実を捕るのに通常の野鳥は果実近くの枝の上に乗って採餌するのに、ムギマキはホバリングしながらこの実を捕ってしまうので、姿を確認した途端に餌を取っていなくなってしまうのです。ただし、慣れて来るとムギマキの好みの熟れ頃や止まる枝は決まっており、何回か観察していると行動パターンが把握できるようになります。撮影を始めるとムギマキの動きは早くて焦りますが、目立たないように枝の上で休んでいる個体もおり、これが狙い目です。また採餌は、木の上部から行われているので、逗留後半には木の下の方にしか実は残っていないと考えられ、被写体を大きく撮影できるチャンスと考えられます。

 

注) ☆印は、Webウィキペディアのムギマキの解説を参照し、一部引用させて頂きました。

撮影場所;長野県長野市戸隠中社 戸隠森林植物園

撮影日;2020.10.18~19