横浜市泉区の今田遊水地に、遠い北国から冬鳥の水鳥たちが多数渡来。ハシビロガモはオスとメスの幼鳥が到着し、この冬に成長して大変身の予感。

 一週間振りに境川遊水地に隣接する今田遊水地を訪ねました。この場所には、先週の初め地元のCMさんが偶然撮ったヒドリガモの中に、頭部にグリーンの帯があるアメリカヒドリが混ざっているのを確認し、その後、管理人も現地周辺を探したのですが、どうやら別の場所に移ってしまったようです。

 

 今田遊水地は、この夏、菱が群生し池面の殆どを覆ってしまい、生態系の変化が心配されました。それでも、冬を迎え菱の成長も止まり、少しずつ水面が見えるようになって水鳥たちの活動エリアが広がり安堵しているところです。今、各地では春にやってきた夏鳥と冬季を越冬するための冬鳥たちのせめぎ合いで、野鳥観察人にとっては忙しい季節に入りました。

 

 今田遊水地に到着している冬鳥たちは、ハシビロガモやヨシガモそしてコガモのそれぞれがエクリプス、そしてヒドリガモやオカヨシガモを確認できました。ヨシガモは一羽だけですが、その他は複数羽が入っています。その中でも、管理人が見てきた「ハシビロガモ(嘴広鴨)」については、つがい程度でしか見てきておらず、5羽から6羽の複数で確認するのは初めてです。改めてウィキペディアで確認すると、越冬期は数十羽の群れを形成する由、当たり前の状況だったのですね。

 

 ハシビロガモの分布は、北アメリカ大陸やユーラシア大陸の高緯度地域で繁殖し、冬季になるとアフリカ大陸北部、北アメリカ南部、ヨーロッパ南部、インド、中国南部等へ南下し越冬します。日本では、冬季に越冬のため飛来し、北海道では少数が繁殖するとのことです(☆)。今田遊水地に渡来したハシビロガモたちは、個人的な見解ですが、アメリカヒドリやヒドリガモと一緒に群れで、アメリカ大陸北部から渡って来たのではないでしょうか。

 

 ハシビロガモは、全長が43~56センチメートル、メスはオスよりも少し小柄で名前が示すとおり、クチバシ(嘴)が幅広く、英名はshovelerでショベル型の嘴を表す名前が付けられています。繁殖地では、草原で生息し、越冬地では河川や湖沼、沼などに生息し、越冬地では数十羽の群れを形成するとのことです(☆)。

 

 食性は、植物食の強い雑食で、植物の種子、プランクトン、昆虫、軟体動物、魚類などを捕食するといわれています。幅広のクチバシの役割は、伊達ではなく刷毛のような繊毛があり、水面にクチバシをつけ水ごと食物を吸い込み、繊毛のついたクチバシで食物だけを濾し取り、水だけを吐き出す仕組みができているのです。つまり、クチバシ自身がフィルターの役割を果たしているのです。

 

 5羽のハシビロガモは、この今田遊水地に来年の3月頃まで滞在しますが、繁殖地のアメリカ大陸北部に戻る頃には伴侶も得て、やや黒めの頭はグリーンに変わり、尾羽も綺麗な婚姻色となって大変身を遂げることを期待しています。これから半年間、寒い冬を乗り切り温かい春が迎えられるよう元気に過ごして欲しいものです。

 

注) ☆印は、Webウィキペディアのハシビロガモの解説を参照し、一部引用させて頂きました。

撮影場所;横浜市泉区下飯田 今田遊水地

撮影日時;2020.10.22