定着してきたか、宮ケ瀬ダム下の渓流には今年も20羽以上の「オシドリ(鴛鴦)」が冬鳥として渡来。

 「オシドリ(鴛鴦)」を初めて撮影したのは5年前になります。写真等で当然知ってはいましたが、現物に向き合って見るとその美しさに魅了されてしまいます。他のカモには見られない、赤いクチバシと頭を覆う冠羽、オシドリを象徴する大きなイチョウ羽が作り物のようで改めてこんな鳥がいるのだなと興奮してしまいました。

 

 今日は、先輩CMのTさんとオシドリを撮影に宮ケ瀬ダムを訪ねました。オシドリは東アジアのみに分布する野鳥で、日本の他、ロシア南東部、朝鮮半島、中国にしか生息していないそうです(☆)。カモ目、カモ科に属し、日本では北海道や本州中部以北で繁殖し、冬季は西日本など本州以南に南下して越冬する漂鳥とのことです。オシドリは、オシドリ夫婦などの言葉にもあるように常にオスとメスが寄り添って動いています。オスは綺麗な色彩をしており、三列風切りが銀杏状をしていて、求愛時にはメスに対してイチョウ羽を立てて誇示します。オシドリは、冬の時期が婚姻色となり特に美しいのだそうです(☆)。 反対にメスは地味な鼠色の色彩で、周りの色に溶け込み岩などの横にじっとしていると全く存在が分からなくなります。 

 

 全長は、オスは48センチメートル、体重600グラム、メスは41センチメートル、体重500グラムです。低地から亜高山帯にかけて生息しています(☆)。飛翔するとき他のカモ類は助走が必要ですが、オシドリは軽いためいきなり舞い上がって飛ぶことができます。渓流や湖沼などに生息し、食性は植物性傾向の強い雑食で、果実や種子、昆虫を食べるそうです(☆)。シイ、カシ、ナラ類のドングリを好んで食べ、シイの木に生っているドングリなどは、木に登って食べます。そういえば、オシドリの越冬地周辺には、ドングリの木が沢山あり、食べ物には困らない場所を選んでいるのですね。

 

 オシドリはカモ科の野鳥で、カルガモやマガモなど他のカモの仲間と比較すると特別に警戒心の強い鳥で、なかなか近寄ってきません。警戒心が強いということは、自然の中で生き抜くための必須条件です。定着してきた宮ケ瀬ダム下渓流へのオシドリの渡来ですが、私たちがあまり手を加えることなく静かに見守って行きたいですね。オシドリの観察はあまり近づくと逃げてしまいますので、適当な距離を取ることが求められます。また、オシドリは、夜行性の動物なので昼間は休んでいますが、一定間隔で泳いだりストレッチで羽根を広げたりしており、時々、婚姻の成立しているカップル等が群れの中から抜け出して来たりしますので、それが狙い目です。

 

注)☆印の文章は、ウェブ版ウィキペディアのオシドリの解説を参照しています。

撮影場所;神奈川県愛川町 宮ケ瀬ダム

撮影日;2010.10.30