浜辺にいるシギ類で最も多いといわれる冬鳥の「ハマシギ(浜鷸)」が大群で船橋三番瀬の干潟を独占中。

 寒さが一段と増してきて夏鳥が姿を消し、各地では冬鳥が渡来し賑やかになっているようです。海鳥の状況を確認に、先輩CMのTさんと千葉県の船橋三番瀬を訪ねました。船橋三番瀬は東京湾の奥に位置し、いくつもの川の水が流入してプランクトンが多く発生し、貝類や甲殻類も多く生息しています。これを狙って、多くの海鳥が集まる野鳥の楽園です。

 

 この船橋三番瀬では、ハマシギの他、ダイゼン、ミユビシギ、ミヤコドリが留鳥となって一年中観察できるため、多くの野鳥観察家を引き付ける魅力のポイントになっています。訪ねた日は、干潮で干潟ができており、海鳥は沖合の方で餌を捕っているようで、手前にはカラスがいる程度でシギチ類は見当たりませんでした。漂流物防護のネットを潜り抜け、沖合に歩を進めると小さな点が動いていました。カメラを除くと沢山のハマシギが群れになって採餌をしているのです。太陽が出るまで気が付かなかったのですが、干潟の大半に白い点が浮き上がって見え、かなりの群れがいることが分かりました。

 

 「ハマシギ(浜鷸)」は、ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の北極海沿岸のツンドラ地帯で繁殖し、冬季は中国南部、中東、地中海沿岸、アフリカ南西部、北アメリカの東海岸、西海岸に渡り越冬するとのことです(☆)。日本では、旅鳥または冬鳥として渡来するそうで日本では最も多く見られるシギ類の一つとのことです。日本に渡ってくる種は、大部分がアラスカ北部で繁殖したものと推定されているとのこと。野鳥観察を記録している「Zoo Picker」の野鳥情報では、船橋三番瀬のハマシギは、5月から8月の暑い期間を除いて観察できるようです。

 

 ハマシギの全長は約21センチメートル、翼を広げると37センチメートルです。クチバシと足が長く、冬羽は灰白色の細かいまだら模様ですが、夏羽は頭と翼が赤っぽく腹が黒くなります(☆)。干潟や砂浜、河口、水田等に生息し、常に群れで行動しており、数万羽に及ぶ大群を作ることもあるそうです。撮影していても、群れの中に監視役がいるようで、鳴き声を上げる訳でも無いのに突然一斉に飛び立つときがあり、圧巻でした。訪ねた時、ハマシギの群れが殆どでしたが、トウネンの少数の群れとシロチドリを確認できました。

 

 ハマシギは、昔、他のチドリ類などと共に浜辺に住むチドリという意味から「ハマチドリ」と呼んでいたそうです(☆)。このような呼び方から、浜辺で見られるシギということで、「ハマシギ(浜鷸)」と名付けられたとのこと。環境省のレッドリストでは準絶滅危惧種に、ICUNのレッドリストでも軽度懸念に指定を受けています。

 

注) ☆印は、Webウィキペディアのハマシギの解説を参照し、一部引用しています。

撮影場所;千葉県船橋市 船橋三番瀬

撮影日;2020.11.10

少数のトウネン(写真左)の群れとシロチドリ(写真右)が観察できました。