長野県は岡谷市の勝弦峠を起点とする塩嶺パークラインの斜面地に、シベリア方面から真っ赤な鳥、「オオマシコ(大猿子)」が群れで渡来。萩の実を採餌中。

 標高1,096メートルの勝弦峠付近では、冬鳥のイスカが観察できることを紹介しました。今回は、同じ冬鳥でもシベリア方面から越冬のため渡来している「オオマシコ(大猿子)」を紹介いたします。管理人は、神奈川在住ですが、このオオマシコを撮影に、埼玉県の秩父地方にある埼玉県民の森に二回ほど訪ねています。

 

 このオオマシコという野鳥、標高が1,000メートルを超える場所でないと渡来してこないとのことです。以前、山梨県の嵯峨塩林道で観察できるとのことで二回ほど訪ねたことがありましたが、何れも空振りに終わりました。やはり食べ物となる好物の萩の実がないと定着しにくいようです。今回訪ねた塩嶺王城パークラインは、甲斐の国の武田晴信が信濃守護の小笠原長時と戦った「塩尻峠の戦い」の舞台になった場所とのことです。パークラインの入り口は、岡谷インターを降りて、国道20号線を諏訪方面に向けて走り、鳥居平やまびこ公園を目指します。やまびこ公園には入らず、しばらく道なりに進みカーブを登りきるとパークラインの案内が見えますので、そこを左折します。

 

 オオマシコは、中央シベリアから東シベリアにかけて亜寒帯の地域で繁殖し、冬季はモンゴル、中国東部、朝鮮半島に渡り越冬するとのことです。日本には冬鳥として本州中部以北に渡来するとのことですが、数は多くないとのことです(☆)。

 体長は17センチメートルでスズメよりも少し大きく、V字形の尾は他のマシコ類と比べるとやや短い。オスの成鳥は頭部と背中、胸から腹にかけて鮮やかな紅色をしており、額と喉は銀白色で、特に喉の部分には前掛けのような直垂が特徴的です。メスは全体に淡褐色で、頭部、背中、胸、腹が淡く紅色がかっています。喉から胸のあたりまで細い褐色の縦斑があります(☆)。同じ仲間の「ベニマシコ(紅猿子)」のオスは、オオマシコのようにはっきり見える銀白色の直垂がないこと、尾が長いことで区別がつきます。

 

 生息している場所は、平地から山地の林、林に近い草地、農耕地などに生息しています(☆)。岡谷の塩嶺パークライン沿道の斜面地には、オオマシコの好きな萩の実が沢山付いており、10羽以上のオオマシコの群れが渡来しており、採餌は群れで行動しています。ただ、イスカのように群れの行動を取っていますが厳密ではなく、仲間が姿を隠して休憩に入っても唯我独尊、我関せずの個体もおり、採餌に夢中の個体もいます。また、採餌している時には少々近寄っても逃げることはなく、撮影しやすい野鳥です。萩の枝に飛び乗って実を食べるのですが、若い個体の方が採餌に貪欲で、難しい体位でも体をひねって実を啄む、アクロバット採餌の演技を見せてくれ、撮影家達を楽しませてくれました。 

 

注) ☆印は、Webウィキペディアのオオマシコの解説を参照し、一部引用しています。 

撮影場所;長野県岡谷市 勝弦峠 塩嶺王城パークライン

撮影日;2020.12.03