長野県岡谷の勝弦峠から塩嶺パークライン沿いの赤松林に「イスカ(交喙)」が群れで止まり、パチパチ音を立てて採餌。去った後には松ぼっくりが山になって。

 今月に入り今年最後の遠征として、イスカとオオマシコを撮影するため、長野県岡谷市の勝弦峠を起点とする塩嶺王城パークラインを訪ねてきました。この地域は、標高が1,096メートルあり、シベリア方面からは次のブログで紹介する「オ

オマシコ(大猿子)」なども越冬していて、イスカとオオマシコの両方が撮影できる人気のスポットになっています。

 

 勝弦峠(かっつるとうげ)は、岡谷市の塩嶺を越えて塩尻市北小野勝弦へと抜ける峠で、鳥居平やまびこ公園から塩嶺を尾根伝いに走る塩嶺王城パークラインの起点にもなっています。彼の地は、天文17年(1548年)武田晴信が、信濃守護職の小笠原長時を奇襲した「塩尻峠の戦い」の舞台になった所でもあるということです(☆)。ゲートを潜って暫くすると下り坂になっており、斜面は野積の石で擁護されていますが近年積まれたものではない、と地元の歴史研究家から教えてもらいました。目的のイスカは、パークライン沿いの赤松に生っている松ぼっくりの種子を目当てに、群れになって飛び回っているのです。

 

 「イスカ(交喙)」は、ヨーロッパ、アジア北部や北アメリカに広く分布し、日本には主に冬鳥として渡来し、北海道や本州の山地で、少数が繁殖するとのことです(☆☆)。全長は、17~18.5センチメートルで、スズメよりも少し大きく、オスは翼と尾羽が黒褐色で他は暗赤色をしており、メスは、額から背がオリーブ緑色、体下面は黄色がかつた白色で羽は黒灰色をしています(☆☆)。イスカの群れの中には、赤色が際立つナキイスカも混じっていることがあるそうです。イスカの特徴には、互い違いのクチバシが挙げられます。この互い違いのクチバシが松ぼっくりの種子を掻き出すのに便利なのです。この特徴的なクチバシ、生まれた時は他の野鳥と変わりませんが、一、二週間すると交差してくるのだそうです。

 

 針葉樹林内で生活しており、非繁殖期は数羽から10数羽の群れで行動しています(☆☆)。岡谷に来ているイスカは30数羽の大集団になっていますが、くっついたり離れたりをしており、最小単位は10数羽の小集団のようです。中にはカップルが成立していて2羽から3羽が独立して行動しているのも確認できました。以前、鳥仲間と一緒に西湖野鳥の森公園でイスカを撮影したことがありますが、この時もオスとメスのカップルでした。基本的には群れでの行動のようですが、独立して行動している者もおり、早くも春を前にしてカップルができ求愛給餌のシーンも確認できました。

 

 イスカは冬鳥ですが、標高の高い地域にしかやって来ませんので、観察できる場所に赴くより手立てはありません。今回訪れている岡谷は、管理人の住んでいる神奈川からは、圏央道を厚木から乗って中央高速道の岡谷まで2時間40分、鉄道を使えば町田から横浜線で八王子まで行き、そこからは、JRの特急あずさ松本行きで同じくらいの時間で行くことができます。イスカは常に群れで動き回るためピンポイントでの場所は特定できませんが、ゲートに近い場所から東屋周辺で待てば、必ず姿を見せてくれるようです。

 

注) ☆印は、Webウィキペディアより、勝弦峠の解説、☆☆印は、同、イスカの解説を参照し、一部引用しています。

撮影場所;長野県岡谷市 塩嶺王城パークライン

撮影日;2020.12.02