境川遊水地公園付近の田んぼには、ビンズイに似た「タヒバリ(田雲雀)」が冬鳥として渡来。数十羽が群れになって移動し、採餌場所を転々と。

 コロナ感染、新しい年を迎え気持ちを切り替えたいところですが、感染拡大は止まるところを知らず、昨年に続いて緊急事態宣言が明日にも発出される状況になっています。海や山には沢山の冬鳥がやって来ており、珍しい野鳥のいるところには飛んで行きたいところですが、暫くは近場にいる野鳥で我慢するしかなさそうです。

 

 そんな訳で管理人が選んだのは、境川遊水地公園付近の田んぼを訪ねて見ました。この時期、収穫の終わっている田んぼは野鳥たちの独占状態、楽園になっています。早い田んぼでは、田起こしが始まっており、泥の中で越冬している生物が顔を出してきて、それを狙って野鳥たちが集まってくるのです。特に管理人が訪ねた境川遊水地付近の田んぼは土鳩が群れで生活しており、田んぼに落ちている籾や生物を漁っています。幾つかのグループに分かれており多い時には100羽以上の大集団になることも珍しくありません。実はこの場所、野鳥撮影家の間ではオオタカの狩場として有名な場所の一つです。

 

 管理人の目的は、タヒバリよりもオオタカ狙いでしたが、残念ながら撮影できておりません。タカを撮影している地元のCMさんによると、とにかくどこからともなくオオタカは土鳩の群れの中に突っ込んで来る、神風特攻隊のような追撃構図らしいのです。土鳩を観察する限り、群れの監視役が常に警戒しており、地上で採餌に夢中になっていても逃げ場を失う鳩は少なく、群れが飛び立ってから四方に散らばった時を捕らえるようです。ところが、鳩の方は鷹よりも旋回率が小さいので、先を読んだ飛行をしないとなかなか空中捕縛は難しいようです。

 

 とにかく収穫の終わった田んぼには多くの野鳥が集まって来ており、ビンズイに良く似た冬鳥の「タヒバリ(田雲雀)」も群れになって田んぼに舞い降り、直ぐに移動したりを繰り返していました。タヒバリは、ユーラシア大陸東部の亜寒帯地方やサハリン、千島列島、アラスカ、北アメリカのツンドラ地帯など北国で繁殖しており、冬季は暖かい地方の北アメリカ南部や朝鮮半島および日本に渡り越冬します。日本には冬鳥として本州以南に渡来する野鳥です(☆)。

 

 体長はスズメよりも少し大きく、約16センチメートル、冬羽と夏羽があり、この時期はビンズイとよく似ているので間違えないように気を付けたいですね。また、夏羽は眉斑と体の下面が橙色がかるとのことです(☆)。渡りの前には色が変わる個体もいますので注意しておきたいものです。

 

 越冬先では、農耕地、川原、海岸など開けた土地に群れで生活しており、セキレイなどと同じように尾を上下に振りながら移動します。管理人は、2年前(2018.11.24)に相模原市にある横浜水道の沈殿池で、群れではなく一羽単独のタヒバリを観察したことがあります。今回は10数羽の群れで移動していました。

 

 片や渡り鳥のタヒバリと漂鳥のビンズイは姿かたちが良く似ており、ビンズイの場合も夏季は山地の奥の森や林にいますが、冬季は人里近くに移動してくるため一羽単独だと間違えることがあります。特にこの時期は同じような場所にいるので注意が必要でしょう。見分け方のポイントは、ビンズイは目の後方、眉斑の下に白色斑がある、一方、タヒバリには白色斑がありません。

 

注) ☆印は、Webウィキペディアのタヒバリの解説を参照し、一部引用しています。

撮影場所;神奈川県横浜市泉区下飯田 境川遊水地公園付近田んぼ

撮影日;2021.1.05

撮影場所;神奈川県秦野市 権現山公園  撮影日;2017.1.06 ビンズイは目の後方、眉斑の下に白色斑がある