小田原アリーナ付近を流れる酒匂川では、今年も北国から冬鳥の「カワアイサ(川秋沙)」が到着。仲間が協力し合って追い込み漁を展開。

 久し振りに遠出をして小田原市にある小田原アリーナ付近の酒匂川を訪ねました。この川には毎年冬鳥の「カワアイサ(川秋沙)」がやって来ますが、今年も数えてみると雄雌合わせて8羽以上いることを確認し、堰の付近では仲間同士が協力し合って元気に追い込み漁をしていました。

 

 今日は日本の南側に低気圧が張り出し、海岸付近は風が強く吹き飛ばされそうな勢いでした。そんな風の強い日でしたが、カワアイサにとってはどこ吹く風、川の流れに逆らうように魚影を追って潜水を繰り返していました。カワアイサの仲間には、姿・形や色などが良く似ている「ウミアイサ(海秋沙)」がいます。少し違うのは、ウミアイサの雄には冠羽がありますが、カワアイサにはありません。また、ウミアイサの雌は喉の斑模様がはっきりしていますが、カワアイサははっきりしません。生息域は、和名にもなっているように越冬時はカワアイサの場合、多くは湖沼や河川などの淡水域ですが、必ずしもそうではなく、内湾や沿岸部の浅瀬にも生息しており、北日本では海水域に多く、西日本では淡水域に多く生息するとのことです(☆)。

 

 酒匂川の由来として、神酒を川に注いだところ酒の匂いが暫く収まらなかったとの言い伝えがあります。酒匂川は、丹沢山地西部を南流する河内川と鮎沢川が合流してできており、山から湧き出た水が直接運ばれたように流れも急で水も澄んでおり、鮎などの小魚が沢山生息していると思われます。カワアイサにとっても鮎が沢山いて水質の良い酒匂川は、願ったりかなったりなのでしょう。管理人は毎年この時期訪ねていますが数十羽のカワアイサを必ず確認しています。

 

 カワアイサは、ユーラシア大陸中北部と北アメリカ北部で繁殖しており、冬季はヨーロッパ、中央アジア、インド東部、中国東部、朝鮮半島そして北アメリカ中部などに渡り越冬します。日本には冬鳥として九州以北に渡来し越冬するとのことです(☆)。食性は動物食で潜水して魚類を捕食します。

 

 長野県の諏訪湖には、日本に渡来するカワアイサの1割に相当する600羽以上が毎年入っており、漁業の中心となるワカサギなどを食べていると考えられています。これを受け昨年12月、県や漁協が中心となってカワアイサを捕獲し、胃の内容物調査を行ったとのことです(☆☆)。その結果は、ワカサギだけでなく外来種のブルーギルなども含まれており、ある意味、外来種の撲滅に役立っていることが分かりました。今後とも調査は継続して行くとのことです。水産資源を守りながら野鳥と共存する、何かうまい手が見いだせると良いのですが。

 

注) ☆印は、Webウィキペディアのカワアイサの解説を参照し、一部引用しています。

   ☆☆は、2021.1.4付け長野日報「水資源との共存は、諏訪湖のカワアイサ調査」より抜粋。

撮影場所;小田原市中曽根 小田原アリーナ付近 酒匂川

撮影日;2021.1.7

「ウミアイサ(海秋沙)」の雌(メス)と雄(オス) ※ウミアイサには冠羽がありますが、カワアイサにはありません。

撮影場所;千葉県浦安市日の出三番瀬 撮影日;2020.3.24