新横浜公園の多目的遊水地に老練な「カワウ(河鵜)」が2羽仲良く生息。1羽が口より大きなマボラを捕らえ、呑み込もうと格闘するも敢え無くギブアップ!!

 緊急事態宣言で不要不急の外出自粛が続いていますが、体がなまってしまいますので散歩を兼ねて横浜市港北区の新横浜公園を訪ねました。この公園の多目的遊水地には、昨年から「ミコアイサ(神子秋沙)」が入っているとのことです。遊水地は、鶴見川の河川の氾濫に備えて作られ、洪水が発生した場合には一部を同地に流し込み被害を最小限に抑えるものです。

 

 遊水地は北を流れる鶴見川に沿って続いており、建設から20年以上が過ぎて、野鳥が隠れる葦原などが自生し、四季を通して多くの野鳥が渡来してくる地域になりました。同地は、国が鶴見川の氾濫に備えて建設しており、昭和33年の狩野川台風規模の洪水に耐えられる容積を用意しているとのことです(※)。私たち人類は、ある時期、工業を優先するあまり自然を破壊する行為も見られましたが、現在は自然といかに向き合って行くかが課題となっています。

 

 多目的遊水地には、魚類や昆虫が棲みつき、それを狙って多くの野鳥や動物たちが来るようになりました。冒頭紹介したように、最近では、冬の渡り鳥では珍しい「ミコアイサ(巫女秋沙)」も毎年見ることができるようになりました。管理人が訪ねた時、朝の採餌が終わったばかりのようで、お休みモードに入っており、雄は4羽、雌一羽を確認することができました。一羽の雌は、暫くすると葦原の中に隠れてしまいましたので、葦の中には仲間がもう少しいるかも知れません。

 

 今回紹介する野鳥は、「カワウ(河鵜)」を取り上げたいと思います。休んでいるミコアイサが泳いだりするのを待っていたのですが、一緒に行った、先輩カメラマンのTさんから)「”カワウが大きな魚をゲットした”」と教えてもらい、視線を移すと一羽の「カワウ(河鵜)」が大きなマボラと格闘しているのが見えました。さっきまで羽根を広げて乾かしていたはずなのに何時の間にか大きな獲物をしとめたようです。

 

 私たち野鳥観察家にとってカワウやウミウは、魚類であれば大小関係なく食べ尽くしてしまうハンターなので、あまり良い印象は持っていません。しかし、この「カワウ(河鵜)」は、公害が問題化した1970年代(昭和45年から昭和55年)に3,000羽まで減少したとのことです。1980年に入り河川水質の公害規制が功を奏し、現在の15万羽以上に増えてきたとのことです(☆)。

 

 「カワウ(河鵜)」は、名前の由来どおり川に生息する「鵜」ということですが、生息域は河川のみならず、河口付近の浅海域でも普通に見られるようになりました。その分布は、アフリカ大陸、ユーラシア大陸、オーストラリア大陸、ニュージーランド、北米大陸東部海岸、グリーンランドの一部など広い範囲に分布しているとのことです(☆)。日本では、本州、四国、九州に繁殖地があり、留鳥となって生息しています。北海道は夏鳥として繁殖が確認され、越冬のため南下する個体がいるようです(☆)。

 

「カワウ(河鵜)」の食性は、殆どが魚類で潜水しながら獲物を追いかけ捕食します。潜水時間は、1分以上と長く、とんでもないところから息継ぎのため浮上したりします。鵜の羽根は油分が少ないため水をはじかなくなり、濡れた羽根を時折広げて乾かさなければなりません。翼を全開にして乾かしますが、水分を早く切るため小刻みに震わせたりします。

 

 今回観察した新横浜公園のカワウは、二羽で単独に近い状態でしたが、本来のカワウは群れを成しているとのことです(☆)。管理人が住んでいる相模川でも鮎の解禁時期は、鮎を狙ってカワウが、空を黒く染めるほどの大群で押し寄せてきます。漁業関係者には厄介な野鳥ですが、環境汚染のバロメーター的な存在であり、大事にしないといけないのかも知れません。大物をしとめ格闘していた遊水地の「カワウ(河鵜)」ですが、自分の口より魚が大きく、三回ほど懸命に呑み込もうと挑戦しましたが最終的にはギブアップしました。

 

注)※印は、国土交通省京浜工事事務所ホームページから引用しています。☆印は、Webウィキペディアのカワウの解説を参照し、一部引用させて頂きました。 

撮影場所;神奈川県横浜市港北区 新横浜公園  3回挑戦するも呑み込めず捕獲断念。(3kgくらいの大物マボラ)

撮影日;2020.1.19