秦野市権現山の水飲み場に、冬鳥として渡来した、蝋細工のようなクチバシを持つ「シメ(鴲)」が来て、水飲み場を独占し飲水と水浴を決行。

 コロナ禍で健康を維持するためハイキングを兼ねて、秦野市の弘法山公園にある権現山水飲み場を訪ねました。以前にも紹介しましたが、山の頂上付近に野鳥専用の水飲み場が作られており、それを取り囲むように塀で仕切られ、水を飲みに来た野鳥が観察できるように、そして野鳥が驚かない程度の小さな窓が用意されています。

 

 この水飲み場は、秦野市が弘法山を訪れるハイカーや市民のために、野鳥を楽しんでもらおうと用意した、野鳥のサンクチュアリーゾーンです。水場のない山の頂上にあって唯一の水飲み場は、野鳥たちにとっては「オアシス」と感じることでしょう。やって来る小鳥たちは、水盆の縁に乗って水を咥えクチバシを上に上げて水を流し込むのですが、飲み干した後、しばし佇み、幸せに溢れた表情を浮かべます。そして、大概の小鳥たちは水を飲んだ後、羽虫などを落とすために水浴びをして戻って行きます。

 

 この時期、珍しい鳥はやって来ず、メジロやシジュウカラ、山雀ばかりですが、たまたま「シメ(鴲)」が来てくれました。一羽だけでしたが、この時期の「シメ(鴲)」は、冬鳥として北方から渡ってきたものと思われます。管理人は、2~3年前になりますが、この水飲み場に「シメ(鴲)」の大きな群れがやって来たのを覚えています。今回、群れにはなっておらず、単独の出現でした。

 

 「シメ(鴲)」は、ヨーロッパ中部及び南部からロシア南部などユーラシア大陸中部域に広く分布しており、北方で繁殖した個体は、冬季南方に渡り越冬します。日本では、北海道や本州の中部以北で繁殖し、冬季は本州以南に渡り越冬するとのことです(☆)。

 

 全長は、約18センチメートルでスズメよりも大きく、ヒバリほどの大きさになります。ずんぐりむっくりの体系が大きく見せ、短い尾と鋭い目つきが特徴です。雄と雌の違いは、雄の場合、頭の上部と耳羽が茶褐色をしており、首の後ろは灰色をしています。クチバシは鉛色をしており円錐型で太く大きく、堅い実などを割って中の種子などを食べます。クチバシで割る時の力は、30Kg以上とのことですから驚きです。雌は雄よりも全体的に淡い色彩で、風切りの一部は灰色をしています。

 

 その生態は、平地から山地の落葉広葉樹や雑木林に生息しており、市街地の公園でも見られます。ムクノキ、エノキ、カエデなどの種子を主食とし、果肉は食べず太いクチバシで種子を割って中身を食べます。地鳴きは、チチッ、ツィリリーッツーと鳴きます。和名の「シメ(鴲)」の由来は、鳴き声が「シー」と聞こえ、「メ」は、鳥を表すので、両者を合わせて「シメ(鴲)」と名付けたとのことです(☆)。また、鉛色の大きなクチバシが蝋細工のように見えることから、蝋でできた嘴(クチバシ)の意味で、「蝋嘴鳥(ろうしょうちょう)」とも呼ばれるとのこと(☆)。

 

注)☆印は、Webウィキペディアのシメの解説を参照し、一部引用しています。

撮影場所;神奈川県秦野市 弘法山公園 語源山水飲み場

撮影日;2021.1.25

「シメ(鴲)」のメス。

撮影場所;座間市座架依橋 撮影日;2020.3.30