横浜市泉区今田遊水地のビオトープ葦原には、冬鳥の「オオジュリン(大寿林)」が群れで逗留。葦の枝や茎に止まり、パチパチと鞘(さや)を剥がし、茎に付く白い虫を上手に捕食。

 横浜市泉区の今田遊水地を久し振りに訪ねました。この遊水地は、下流側の境川遊水地と共に境川の氾濫に備えるための施設で、施設の半分以上にビオトープが造られ、生物や野鳥などが棲みやすいように葦原や蒲などが配置されています。この今田遊水地には、今年も冬鳥の「オオジュリン(大寿林)」が群れで逗留し、葦に付く白い虫を捕食していました。

 

 今田遊水地は下流の境川遊水地公園などと一緒に整備されていましたが、内部が整備され一般開放されたのは最近のことです。中でも生物や野鳥が住みやすい環境にしようと、ビオトープの設計段階から葦原の配置等を考慮していたそうです。葦原は生物たちのお気に入りの場所となり、その生物を目的に多くの野鳥たちが四季をとおしてやって来ます。

 

 ビオトープ上流側の葦原に、冬鳥の「オオジュリン(大寿林)」が群れでやって来て、葦の茎に止まるのを確認しました。「オオジュリン(大寿林)」の今田遊水地等への渡来は、すっかり定着したようです。一見、スズメと同じくらいの大きさなので間違えてしまいますが、葦の梢に止まり、おちょぼ口でパチパチとさやを剥がしていれば、「オオジュリン(大寿林)」で間違いありません。飛翔する時には群れになり、白い腹が見えますので分かり易いと思います。

 

 「オオジュリン(大寿林)」は、アフリカ大陸北部、ユーラシア大陸、日本などに分布し、夏季はユーラシア大陸の高緯度地方で繁殖し、冬季はアフリカ大陸北部やユーラシア大陸南部へ南下して越冬します。日本では亜種オオジュリンが夏季に北海道と東北地方で繁殖し、冬季は本州以南に南下して越冬するとのことです(☆)。

 

 全長は、14.5センチメートルでスズメと同じくらいの大きさで、翼は赤褐色をしており黒い縦縞状の斑紋が入っています。オスの冬羽は頭部が赤褐色で、夏羽になると頭から喉元にかけて黒い色をしています。ノビタキの夏羽と冬羽に似ていますね。夏羽の「オオジュリン(大寿林)」は、北海道に行けば会えるということでしょうか。

 

 「オオジュリン(大寿林)」の生態は、河川や湖沼周辺の草原や湿原等に生息しており、秋季や冬季の渡りの時期は、群れを形成するとのことです。食性は雑食で種子、昆虫類を食べ、葦等の梢に縦に止まり鞘を剥がして中にいる昆虫類を捕食します(☆)。オオジュリンの名前の由来は、「チュイーン、ジュリーン」と鳴くことから、鳴き声が語源となっているようです。管理人には、細く「チーー」としか聞こえませんでしたが。

 

 2~3年前、今田遊水地より下流の境川遊水地公園の葦原に、オオジュリンに混りシベリアジュリンが渡来したことがあり、多くの野鳥観察家が詰め寄せたことがありました。シベリアジュリンは、姿・形ともオオジュリンに似ていますが、クチバシの形状に特徴があります。オオジュリンはおちょぽ口で丸みのあるクチバシですが、シベリアジュリンは直線的で閉じた時三角形をしたクチバシになります。

 

注)  ☆印は、Webウィキペディアのオオジュリンの解説を参照し、一部引用しています。

撮影場所;神奈川県横浜市泉区 今田遊水地

撮影日;2021.1.28