今年も忘れず越冬にやって来た、「ヒレンジャク(緋連雀)」の群れ。十数羽の群れが旋回し、宿木を目掛け近くの枝に舞い降りて連雀止まり。一羽が宿木の果実を食べ出すと次々と。

 人と人との接触を限りなく避ける今回のコロナ感染症の対策、ステーホームの是非はともかく3密やマスク着用の効果は確実に効果が表れているようです。管理人もできる限りの外出自粛を心掛けながら適度な野鳥撮影を楽しむことにしています。今回は鳥撮りの知人から、「ヒレンジャク(緋連雀)」が地元に入ったとの情報を頂き、早速現地に赴きました。

 

 「ヒレンジャク(緋連雀)」は、平安時代の古くから「連雀(れんじゃく)」や「唐雀(からすみ)」などの名称で知られていたようです(☆)。そのレンジャクに黄色と赤色の個体があるとして区別されたのは、江戸時代の中期からとのことです。「ヒレンジャク(緋連雀)」の和名は、ヒレンジャクは群れになって行動し、樹木に止まる際のスズメが連なって止まる光景に由来しています。

 

 野鳥の和名の由来は、姿や形そして季節や鳴き声など様々ですが、何か特別な読み方の「レンジャク」は、止まった姿から名前を想像するのは難しい気がします。蛇足ですが、ヒレンジャクの英名はWax wing、直訳すれば蝋の翼でレンジャクの姿が納得でき、漢名は尾羽の枚数が12枚あることからそれぞれヒレンジャクは、「十二紅」、キレンジャクは「十二黄」と表されています(☆)。

 

 「ヒレンジャク(緋連雀)」の分布は、シベリア東部、中国北東部のアムール川・ウスリー川の流域で繁殖し、冬季は日本の他、サハリン、朝鮮半島、中国南部、台湾などで越冬します。繁殖の環境条件が変わるためなのか、毎年の飛来数は異なります。日本には11月~5月にかけて逗留し、東日本ではキレンジャクが多く、西日本ではヒレンジャクが多い。また、越冬地は、低地や丘陵地の開けた森林や農地などとのことです(☆)。

 

 ヒレンジャクは、体調が18センチメートル、翼開長は、約29センチメートルあり、オスとメスは同色で殆ど見分けがつきません。全体的に赤紫がかった淡褐色をしており、顔はやや赤褐色みを帯びていて、尖った冠羽と冠羽の縁まで伸びる黒い過眼線と黒いノドが特徴です。黒いノドは、メスの場合、境界がはっきりしません。この他、次列風切は灰色で先の方は黒色をしており、先端部は赤色をしています(☆)。

 

 日本に渡来する冬の非繁殖期は、主に果実類を捕食し、ネズミモチ、ニシキギ、ヤドリギ、ノイバラなどの果実を採餌します。繁殖期である夏の間は、主に昆虫類を食べます。また、非繁殖期のヒレンジャクは、数十羽の群れで行動するとのことです(☆)。その鳴き声は、「ヒーヒー」「チリチリ」と鳴き、囀りはありません。ヒレンジャクを観察していると、水飲みの回数の多さに驚きます。水を飲んでいるときのヒレンジャクは本当に幸せそうに見えます。水飲み場が分かればそこで待っていると水飲みの良いシーンが撮れるかも知れません。

 

注) ☆印は、Webウィキペディアのヒレンジャクの解説を参照し、一部引用しています。

撮影場所;神奈川県秦野市

撮影日;2021.1.31