越冬中「ヒレンジャク(緋連雀)」の十数羽の群れに、「キレンジャク(黄連雀)」が数羽混入。仲間と違うのが分かるのか、採餌や枝先に止まるのも少し離れて。

 2月に入り、知人からの報せではヒレンジャクの入りが早まると承知していましたが、節分前に到着するとは。冬鳥たちの写真を撮りつくしていましたので、ヒレンジャクの渡来は嬉しい限りです。更に喜ばしいことに、この群れの中に「キレンジャク(黄連雀)」が数羽入っているのです。

 

 ヒレンジャクのブログでも紹介しましたが、「連雀」は平安時代の昔から知られており、ヒレンジャクとキレンジャクの区別がついたのは江戸時代の中頃からと言われています。私たちは2種類いるのを知っていますから気を付けて見ますが、昔は双眼鏡などありませんので、姿・形が同じとあまり気にも留めなかったのかも知れません。ただ江戸時代は天下泰平の世の中、誰かが混群で渡来したヒレンジャクの群れを見て、赤い尾の中に黄色の尾の鳥がいると気付いたのでしょうか。

 

 Webウィキペディアのキレンジャクの解説を参照すると、体調は19.5センチメートルとあり、ヒレンジャクより2センチメートル弱程度大きく、姿や体形及び色合いなどは殆ど同じです。違いは、次列風切羽の先端部に赤い蝋状の突起物があるのが特徴とのことです。この突起物はヒレンジャクにはないそうです。この蝋状の物質が、連雀科の英名であるWax-wingの由来にもなっています(☆)。因みに、漢名では、尾羽を広げた時に見える羽根の数から「十二黄」と言います(☆)。

 

 私たちは「キレンジャク(黄連雀)」と「ヒレンジャク(緋連雀)」を冬鳥として同じ時期に見ることができますが、繁殖の地域は少し違います。ヒレンジャクの繁殖地域は、シベリア東部や中国北東部など限られた場所に対して、「キレンジャク(黄連雀)」は北半球の寒帯で広く繁殖分布しています。日本には冬鳥として本州中部以北に多く渡来し、木の実を求めて南下して行きます。繁殖数は、木の実の多少に比例するとのことです(☆)。

 

 もう一点違うのが食べ物でしょうか。「キレンジャク(黄連雀)」は平地や山地の林などに生息して、主に木の実を食べます(☆)。非繁殖期のヒレンジャクは宿木などに付く果実を食べ、繁殖期は昆虫などを捕食します。今回渡来しているキレンジャクを観察しているとヒレンジャクと同じように果実を食べるようです。あまり好みでないのか、仲間より遅れて採餌し、枝先に止まるのも少し離れた位置です。仲間と違うのを意識しているのでしょうか。

 

注)    ☆印は、Webウィキペディアのキレンジャクの解説を参照し、一部引用しています。

撮影場所;神奈川県秦野市

撮影日;2021.2.02

※※キレンジャクの特徴である、次列風切羽の先端部に見られる「蝋状」突起物。右側拡大写真、 上矢印部分。通常は隠れており、ストレッチなどで確認できる。2021.2.12 資料追加