神奈川県立相模原公園の菖蒲田に、冬鳥の「カシラダカ(頭高)」が群れから外れたのか、カップル(番・ツガイ)が身を寄せ合ってひっそり越冬。

 今年は、ヒレンジャクの当たり年でしょうか。嬉しいことに、なかなかお目にかかれないキレンジャクも混じり、多くの野鳥撮影家たちを興奮させています。とりわけ、平塚市のある街には街路樹のクロガネモチの果実が熟れ頃でこの果実を求めて沢山のヒレンジャクが集まっており、ヒレンジャクの撮り放題の状態になっています。

 

 撮り放題と言っても街路樹は沢山あり、鳥たちが止まるところは分かりませんのでどこかで待つことになります。ただ鳥さんは好みのポイントがあり、そこで待っていれば必ずやって来ることが分かります。彼らの行動は素早く、何時の間にか降り立ったかと思うと、何粒か食べて素早く立ち去ってしまいます。最初の頃は数に圧倒され狙いどころを見失ってしまいますので、どれかに絞って追いかけるようにすると良いかも知れません。

 

 そんな喧騒から逃れて、久し振りに相模原市の南部にある県立相模原公園を訪ねました。この公園は、昨年の12月、冬鳥として入ったばかりの「ツグミ(鶫)」を案内させてもらいました。あの当時、群れになっていたツグミは環境に慣れてきたのか単独行動をしていました。管理人が訪ねる場所は、広い公園の中でも相模原市の運動場に近い菖蒲園にしています。この場所は、春は5月から6月にかけて菖蒲が見頃となりますが、冬の時期は菖蒲も枯れ来園者は少なく、排水路に溜まる水などを求めて野鳥たちの格好のオアシスになっているのです。

 

 菖蒲園は、管理センターをつなぐ陸橋を渡り下った処と東屋を過ぎて北側に位置する二か所があります。菖蒲園の周りには、広葉樹のエノキやイヌシデなどの木々が植生され、冬の間は落葉して黒い果実が付き、鳥たちの餌場になっています。

枯れた菖蒲田でスズメくらいの大きさの野鳥の動きが目に留まりました。ファインダーを覗くと野鳥は、「カシラダカ(頭高)」です。普通、沢山の群れで行動しているカシラダカですが、この公園の個体はカップルと思われる二羽だけでした。

 

 カシラダカは、スカンジナビア半島からカムチャッカ半島までのユーラシア大陸の高緯地域とアリューシャン列島で繁殖し、冬季は中国東部に渡り越冬します。また、一部は中央アジアに渡る個体もあるとのことです。日本には冬鳥として九州以北に渡来します(☆)。体長は15センチメートルで、スズメ程度の大きさです。翼開長は約24センチメートル、後頭部には短い冠羽があります。オスの夏羽は頭部が黒く目の上から白い側頭線が出ます。体の上面は茶色、体の下面は白色、外観はホオジロのメスに似ています(☆)。

 

 平地から山地の明るい林や草地、農耕地、葦原などに生息します。繁殖期以外は数羽から100羽ほどの群れで過ごします。越冬期は地上で跳ね歩きながら草木の種子を採食します。地鳴きはチッチッと鳴き、囀りは見られません(☆)。この公園のカシラダカのカップルは菖蒲田の中で、雑草からこぼれた種を採餌するのに夢中で、時折り来園者が通行しても逃げることなくじっと動きを止めています。大きな群れの場合、監視役の一羽が舞い上がると一斉に舞い上がり逃げてしまいますが、この個体たちはなかなか大胆です。それでも耐え切れず近くの樹木に舞い上がり、小枝に乘ってくれました。

 

注)   ☆印は、Webウィキベディアのカシラダカの解説を参照し、一部引用をしています。

撮影場所;神奈川県相模原市 県立相模原公園

撮影日;2021.2.22