3月は渡りの季節、昨年から越冬していた冬鳥の「オカヨシガモ(丘葦鴨)」もカップルが誕生して恋のシーズン。新横浜公園の広大な池とも間もなくお別れ。

 今月7日まで発出していた緊急事態宣言は、この時期における昨年の感染拡大傾向を見て、二週間程度の延長が決まりました。3月は卒業式やお花見などを控えており、外出の機会が増えてきますので、感染抑止の難しい局面を迎えていると言えそうです。そうした難しい状況はさておき、今日は1月に行った新横浜公園の多目的遊水地を訪ねました。

 

 新横浜公園は、鶴見川の河川氾濫の防止を目的として約20年前に建設され、遊水地に植生された葦原も周りの景観になじんで、すっかり野鳥や生き物たちの楽園になっています。今日訪ねたのは、前回「ミコアイサ(巫女秋沙) 」の群れを確認しており、その後の様子や現況を見ることでした。冬の間は水鳥でひしめいていた池も冬鳥が徐々に渡っているようで、残っているのはハシビロガモやオカヨシガモそしてオオバンの姿しか見当たりません。白く見えた鴨もハシビロガモのオスで、ミコアイサのオスは残念ながら渡ってしまった後のようでした。ミコアイサのメスは一羽だけが残って元気に採餌していました。他のミコアイサの群れにうまく合流できると良いのですが。

 

 「オカヨシガモ(丘葦鴨)」は渡りを前にして、何組かのカップルができ上がり、仲良く二羽で泳いでいました。オス単独の「オカヨシガモ(丘葦鴨)」もいましたが、時折り泳ぎを止めて首を伸ばし、クワッー・クワッーとメスに向けて、求愛の鳴き声を上げているようでした。「オカヨシガモ(丘葦鴨)」の名前の由来は、に近い葦原にいる、と言うことで「丘葦鴨」と付いたのが通説のようです。同じ葦鴨でも、ナポレオンハットが特徴の「ヨシガモ(葦鴨)」とは随分違い、かなり地味な色彩をしています。

 

 「オカヨシガモ(丘葦鴨)」の全長は、46から58センチメートルで翼を広げた時には、84から95センチメートルになります。次列風切りの光沢は白く、後肢(アシ)は橙色若しくは橙黄色をしています。繁殖期のオスは頭部の羽衣が褐色や灰褐色で黒い斑点が入り、尾羽は黒や灰褐色をしていてクチバシは黒色です。メスは全身の羽衣が褐色で、エクリプスのオスも同様の色をしています(☆)。

 

 「オカヨシガモ(丘葦鴨)」は、北アメリカ大陸北部、ヨーロッパ北部、シベリアなどで繁殖し、冬季になるとアフリカ大陸北部、ヨーロッパ南部、インド及び中国東部などへ南下して越冬します。日本には亜種のオカヨシガモが越冬のために少数が飛来してきます。北海道では少数が繁殖を行います(☆)。

 

 「オカヨシガモ(丘葦鴨)」は、湖沼や湿原に生息していて食性は主に植物食です。植物の種子、茎、葉、根、水生植物、昆虫などを食べます(☆)。今田遊水地に入っているオカヨシガモは、夏場に繁殖した「菱・ひし」の茎を採餌していて、数羽の鴨が同時にシンクロナイズドスイミングのように、お尻を水の上に突き出している姿を良く見掛けました。この新横浜公園ではそうした光景は見られません。何か別の食べ物でもあるのかも知れません。これから渡りの時まであと少し、栄養を沢山蓄えて元気に飛び立ち、今年の冬も子供を引き連れて、元気な姿を見せて欲しいものです。

 

注)     ☆印は、Webウィキベディアからオカヨシガモの解説を参照し、一部引用させて頂きました。

オカヨシガモは、何組かがカップル誕生。

一羽だけ置いてきぼりになった「ミコアイサ(巫女秋沙)」のメス。広い池は独占状態にして、採餌に余念がない。

撮影場所;神奈川県横浜市 新横浜公園

撮影日;2021.3.04