日向渓谷の渓流には途中、人工の滝が。水に守られたカーテンの裏側では、今年も「カワガラス(河烏)」が雛を孵化 ! 口一杯に餌を咥え、大きくなれと親心。

 首都圏に発出されている新型コロナ感染症の緊急事態宣言は、7日から更に2週間の延長が決まりました。外出自粛が更に延長されることになりましたが、夏鳥が渡来する4月頃までには何とか目鼻を付けてもらいたいものです。今日は、2月の上旬に行った伊勢原市の日向林道と日向渓谷を訪ねました。

 

 日向林道ではゲートを潜ると直ぐにウソの群れが出迎えてくれました。残念ながら、あんなに沢山いた「マヒワ(真鶸)」の群れには会えませんでした。渡ってしまったのでしょうか。林道では、ウグイスの鳴き声がそちこちで聞こえ始め、水飲み場や駐車場の脇を流れる渓流(日向川)ではミソサザイが大きな声で囀っていました。この駐車場は、ハイカーやキャンプ場、林道を楽しむ人たちのためのもので無料になっています。

 

 林道での野鳥観察を早めに切り上げ、ふれあいの森日向キャンプ場の途中にある日向川の滝に向かいました。キャンプ場入口はキャンプ開催期間中以外はゲートが閉ざされています。車両は通行止めですが、人ならば脇から入ることができます。かなり急な勾配の通路で、中央には階段が用意されています。並行して流れる日向川は、キャンプ場から駐車場までかなりの落差となり、人工的に二つの段差を作り、川の流れを調節しています。段差を流れる水は滝となり、ここの「カワガラス(河烏)」は水のカーテンの裏側に営巣し、子育てをしているのです。

 

 「カワガラス(河烏)」の分布は、ヒマラヤ北部からインドシナ半島北部、中国、台湾、サハリン、日本、カムチャッカ半島に生息します。生息地では留鳥になっていて渡りは行いません。日本では留鳥として広く分布し、河川の上流から中流域にかけてと山地の渓流に生息します。全長は21~23センチメートル、翼開長は32センチメートルです。全身が濃い茶色(チョコレート色)で光の加減で赤茶色に見えることもあります。黒いのでカラスと名前が付けられていますが、カラスの仲間ではありません。尾羽は短めで黒味の強い焦げ茶色、目の瞳は黒で周りは茶色、目を閉じると白い瞼が目立ちます。オス・メス共に同色です(☆)。クチバシは黒く、足は灰色で、岩場を動き掴みやすいように長く、そして鋭い爪が付いています。ミソサザイのように、短めの尾羽を立てた姿勢を取ります。

 

 「カワガラス(河烏)」は、平地から亜高山帯の川の上流から中流の岩場の多いに生息します。雪の降る冬季は、下流側に生息場所を移動することもあるとのことです(☆)。ピッピツと鳴きながら、羽ばたきながら川面の上を飛翔します。頑丈な足で岩を掴み、水流の圧力を利用して川底を歩きながら捕食します。今回初めて、川底を歩く様子を撮影することができました。食性は動物食で水に潜ってカゲロウ、カワゲラなどの動物、水生昆虫やカニなどの甲殻類を捕食します。

 

   滝による水のカーテンは、天然の要塞になっています。外敵から雛を守るための最高の施設です。親の「カワガラス(河烏)」は、餌を咥えられるだけ咥えてきており、食べ盛りの雛に与えていることは間違いなさそうです。これから暖かい日が続きますので昆虫の出も良く、雛の成鳥も良くなることでしょう。親鳥たちはしばらく忙しい日が続きそうです。

 

注) ☆印は、Webウィキベディアのカワガラスを参照し、一部を引用させてもらいました。

※4枚目は、河烏が川を歩く様子。泳ぐように見えますが、足元の石を掴み、水の流れを利用して歩いているようです。

 

撮影場所;神奈川県伊勢原市日向 ふれあいの森日向キャンプ場付近

撮影日;2021.3.09