昨年10月頃から越冬する「ハシビロガモ(嘴広鴨)」の雄。到着時エクリプス(幼鳥)が、冬を乗り越え華麗に変身。仲良しもでき、旅立ちはもう直ぐか?

 コロナ感染症の防止対策として発出された緊急事態宣言は二週間延長され、3月21日までとなりました。宣言延長から5日目を迎えますが、当初目標のステージⅡまでなかなか近づいてくれる気配がありません。無症状感染者にも有効と言われる新型コロナ感染症の予防ワクチン、計画的な接種を進めるためにも感染防止の徹底が求められています。

 

 先の見通せない新型コロナ感染症ですが、野鳥の世界は季節の移り変わりに敏感に反応し冬鳥は北国への旅立ちを迎えています。ところで、昨年10月22日付で投稿した「ハシビロガモ(嘴広鴨)」のブログタイトルに、「今田遊水地に北アメリカ大陸方面から・・・」と記述しておりましたが、ハシビロガモの繁殖地はユーラシア大陸や北アメリカ大陸の高緯度から中緯度地域とWebウィキペディアで解説するとおり、日本への渡来はどちらからと特定できないため、「遠い北国から」と修正いたしました。お詫びして訂正します。

 

 「ハシビロガモ(嘴広鴨)」の幼鳥の渡来を管理人が確認したのは、昨年の10月15日でした。地元のCMさんは、更に前に確認しており少し前かも知れませんが、おおよそ10月の中頃に到着していたと考えられます。今田遊水地で、昨年から越冬して約5ケ月が経過し、彼のハシビロガモは成鳥となり、華麗な姿に大変身をしました。黒かった首周りは濃い緑色になり、背中の斑紋様も黒く、腹下面はまばゆい白色になり、側面は明るい茶色になりました。

 

 「ハシビロガモ(嘴広鴨)」は、北アメリカ大陸やユーラシア大陸の高緯度から中緯度地域で繁殖し、冬季になるとアフリカ大陸北部、北アメリカ大陸南部、ヨーロッパ南部、インド、中国南部、日本などへ南下し、越冬します(☆)。北海道では少数が繁殖しているとのことです(☆)。 

 

 「ハシビロガモ(嘴広鴨)」の全長は、43から56センチメートル、翼開長は70から85センチメートルになります。次列風切りの光沢は緑色、後肢は橙色です。一番の特徴であるクチバシ(嘴)は幅広く、和名の由来になっています。因みに英名は、shovelerと名付けられており、シャベル型のクチバシは連想しやすく分かりやすいですね(☆)。

 

 繁殖地では開けた草原に生息し、越冬地では河川、湖沼、池などに生息します。また、越冬地では数羽から十数羽の群れを形成します。食性は植物食傾向の強い雑食で、種子、プランクトン、昆虫、軟体動物、魚類などを食べます。水面にクチバシを付けて水ごと食物を吸い込み、大きなクチバシで食物だけを濾し取り水だけを吐き出して採食します(☆)。クチバシを拡大した写真を参考まで添付します。クチバシの側面は櫛のような構造で、小さなプランクトンを濾過する役目をしていると考えられます。大きなクチバシは伊達ではなく、生活するうえで進化したものなのですね。そういえば、クジラ(鯨)も同じような仕組みの口でした。

 

 繁殖時期は、5月から7月、草木の丈が短い草原に巣を作ります。7個から14個の卵を産み、メスが抱卵し、孵化して40~45日で飛翔できるようになります(☆)。カルガモなどと同じように多産系なんですね。また、ひと月足らずで飛べるようになるとのこと、成長が早いのには驚きです。

 

 夏の間、池に群生していた植物の「菱」ですが、冬場は枯れて池の底に沈み、越冬する水鳥たちには格好の餌になっています。この冬ハシビロガモやオカヨシガモたちは、これらの植物を採餌するため仲間同士が示し合わせたように一斉に水中に頭から潜り、お尻を突き上げ、まさにシンクロナイズドスイミングをするかのような光景を良く見せてくれました。

 

注)    ☆印は、Webウィキベディアのハシビロガモの解説を参照し、一部引用しています。

撮影場所;神奈川県横浜市泉区 今田遊水地

撮影日;2021.3.12

写真左; 幅広の大きなクチバシの側面は櫛状の繊毛で出来ており、プランクトンが含まれる大量の水はここで濾過されて、水だけが吐き出される仕組み。

写真右; 遊水地に到着時、エクリプス(幼鳥)のハシビロガモ雄。2020.10.15撮影