生まれ故郷の北米やメキシコから遠い日本に狩猟等の目的でやって来た「コリンウズラ」。相模川沿いの環境が合って繁殖が続き、国指定の侵入生物扱いに。

 神奈川県を流れる一級河川相模川は、肥沃な土壌を運んで相模平野を作り、県内の多くの町を抜けて河口の平塚市馬入から海に注がれます。豊かな水の恵みは農業や漁業が栄え、川の両岸には田園や畑が広がっています。相模川は川幅が広く中州もあり、周辺の田圃や畑には多くの生物や昆虫が生息し、これが目当てに多くの野鳥たちが集まり生息しています。

 

 今日は朝から青空の広がる晴天になり、青空バックのクマタカを狙おうと日向林道を訪ねました。林道を向かう途中、鳥撮り仲間の I さんから携帯に電話が入り、相模川河川敷近くの畑に、「コリンウズラ」が出ているとの情報を頂きました。「ウズラ(鶉)」はよく耳にしますが、コリンが付いているので迷鳥か何かかなと思いながら現地に向かいました。

 

 「コリンウズラ」は、キジ目、ナンベイウズラ科で、学名は、Colinus Virginianus と表されます(☆)。和名のコリンは、学名の最初の文字を宛がったものでしょうか。その分布は、北アメリカ中東部からメキシコ、キューバが生息地です。日本には、狩猟目的や飼育用に輸入され、猟犬の訓練で放たれたものが野生化し繁殖したものと言われています。神奈川県や大阪府で確認されており、神奈川県では定着の可能性が高いようです。日本の他にはイギリスやニュージーランド、ドミニカ共和国でも定着が確認されています(☆)。

 

 全長は、20から25センチメートルでウズラよりも一回り大きい(☆)。写真のように羽毛の色や模様はメスとオスでは違います。オスは、喉と眉班が白く、羽根の縁が白色か黒色ですが、メスは褐色一色の斑模様です。クチバシの色は、オスメス共に黒色をしています。

 

 生育環境は、森林や葦原、河川敷、草原などで、繁殖期は原産地では4月~6月です。侵入生物として確認されたのは1980年頃とされています(☆☆)。そんなに古くはないのですね。食性は昆虫、果実、種子で、昆虫は、繁殖期の重要な食べ物になっています。一回の産卵で10から15個を産む多産系です(☆☆)。

 

 「コリンウズラ」は、相模川河川敷に近い畑におり、鳥仲間の情報では相模川堰堤の近くにも来ているとのことです。管理人は、「コリンウズラ」は、初見・初撮りで、最初に確認できたのがメスで、第一印象はコジュケイではないかと思うくらい似ていました。オスは、草の一種に種子ができていて、その種を草に隠れながら採餌しているのを確認しました。

 

 「コリン」という響きは小鈴に通じ、名前もその姿も何となく愛らしく感じます。ただ、日本にはいなかった外来種と言うことで、国は侵入生物に指定しています。CEC徒然野鳥記でも、外来種の侵入は元々いる在来種の環境を妨げる要因になるため好ましくないと論じています。確かに飼育用であれば問題ないのですが、野生化して在来種を脅かし、挙句に駆逐してしまうのは考え物ですね。身近に知る例にガビチョウがいます。鳴き声の綺麗なガビチョウは、中国から観賞用で入ったものが篭脱けし、野生化したと言われています。これらの野鳥が、在来種とどのように折り合いをつけているのか興味のある所です。

 

 今回、相模川沿いの畑で確認した「コリンウズラ」は、メスとオスが仲良くつがいで行動しており、今月中にも営巣・抱卵が始まるかもしれません。国指定の侵入生物はともかく、沢山の雛を従えたコリンウズラのお散歩を是非見たいものです。

 

注)  ☆印は、Webウィキペディアのコリンウズラを参照し、一部引用しています。

 ☆☆印は、国立環境研究所発行の侵入生物DBからコリンウズラを参照しています。 

上段2枚; オスのコリンウズラ  下段2枚; メスのコリンウズラ

撮影場所;神奈川県座間市 相模川河川敷付近畑

撮影日;2021.4.11