東アジアにしか生息せず、国の絶滅危惧種1B類に指定される冬鳥の「クロツラヘラサギ(黒面箆鷺)」が夏羽になって、小田原市の酒匂川で渡り途中の羽休め。

 他の方のブログを拝見していると、そろそろ森の奥では、キビタキやセンダイムシクイなどの夏鳥たちが顔を出しているようです。林道も温度が上がって来ると心配なのがヤマビルです。ヤマビル対策には市販の薬もありますが、煮立てた塩水を冷まして使う、安上がりの方法もあります。山道歩きは、落ち葉の中に潜むヤマビルに要注意の季節です。

 

 今日は、神酒を川に注いだところ、酒の匂いが暫く収まらなかったとの言い伝えがある「酒匂川」を訪ねました。酒匂川は丹沢山地から湧き出す水が河内川や鮎沢川に注ぎそれが合流してできています。水も澄んでいて鮎などの小魚が沢山生息しており、水質の良さが証明されています。この川に、東アジアにしか生息しておらず、世界的にも絶滅危惧種になっている「クロツラヘラサギ(黒面箆鷺)」が、夏羽になり渡り途中で羽休めをしている、との情報を鳥仲間の I さんから頂き訪ねました。

 

 「クロツラヘラサギ(黒面箆鷺)」の繁殖地域は、主に東アジアのみでその内訳は、カンボジア、タイ、韓国、北朝鮮、中国、台湾、香港、日本、ベトナム、ロシア東部、朝鮮半島西岸部、遼寧省沿岸部及びウラジオストックて、冬季は越冬数の順番に台湾、中国、日本、香港、ベトナム、マカオ、韓国などの国や地域で(☆)、2.020年の世界一斉個体数調査での越冬数は4.864羽が確認されています(☆☆)。日本は、日本野鳥の会によるクロツラヘラサギネットワークの調査で全国で544羽の越冬が確認されました(☆☆)。我が国には、九州地方に多く飛来していることが分かっています。「クロツラヘラサギ(黒面箆鷺)」は、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧1B類に指定されます(☆)。

 

 「クロツラヘラサギ(黒面箆鷺)」は、ペリカン目、トキ科、ヘラサギ属に分類される鳥類で、体長は70~80センチメートルで、翼開長は110センチメートルになります(☆)。冬羽はシラサギ類に似ていて全身の羽毛は白色です。羽休めをしている個体は、繁殖期の夏羽になっており、眼先や胸が黄色みを帯び、後頭部にも黄色の冠羽が見れます。顔立ちは眼先を除いて黒色をしており、クチバシも黒く長く、先端がしゃもじヘラのような形をしています。これが名前の由来になっています(☆)。足は黒く、メス・オス共に同じ色をしていますが、オスの方がやや大きい。似ている仲間にヘラサギがいますが、大きな違いはヘラサギの場合クチバシの先端が黄色です(☆)。

 

 「クロツラヘラサギ(黒面箆鷺)」の生態は、干潟や河口、池、水路などに生息します。木枝に止まることもあります。魚類や甲殻類を食べ、干潟や浅瀬でクチバシを差し入れ、細かく震わせて頸部を左右に振り採食します。5月から6月が繁殖期となりメスとオスが共同で抱卵します。抱卵期間は26日で、雛は孵化してから11日で巣立ちます(☆)。

 

 「クロツラヘラサギ(黒面箆鷺)」は、管理人にとって初見、初撮りになります。酒匂川に立ち寄った個体は、繁殖地に向けて渡りの途中のようです。他の方のブログを見ると、前日に到着したてでお腹がすいているらしく、CMさんが近くでも採餌に夢中のようでした。管理人が訪れたのは翌日になり、旅の疲れもあってか寝ているばかりで捕食活動は殆ど見られません。時々起きては周辺を見渡し、カメラのレンズを向けられているのが気になるのか、突然飛び立って別の場所に移動されてしまいました。飛翔は鷺同様ゆっくりなので、撮影は難しくありません。

 

注)    ☆印はWebウィキペディアのクロツラヘラサギの解説を参照し、一部引用しています。☆☆印は、日本野鳥の会、クロツラヘラサギネットワーク参照。2020.1.17~同年1.19世界一斉個体数調査結果を参照。 

撮影場;神奈川県小田原市 酒匂川

撮影日;2021.4.18