東南アジアから夏鳥として我が国に渡来した「オオルリ(大瑠璃)」の雄。渓谷を見渡せるヒノキの天辺で、婚約者募集の美しい囀りを谷間にこだまさせて。

 神奈川県愛川町の「憩いの森八菅」には、「オオルリ(大瑠璃)」が渡来しており、昨日に続いて本日も訪ねて見ました。愛川町の「いこいの森八菅」に入る通路は車両が一台通るのがやっとの細い道路で、ところどころに離合退避のスペースが設けられていますが、途中でかち合ってしまうと退避場所までどちらかが移動しないといけなくなります。

 

 「いこいの森八菅」の車両で訪ねる注意点は以上のとおりですが、交差点近くの駐車場を除いて神社脇や山の麓の駐車場は町営なので役所の開閉時間と連動しており、夜間はゲートが閉じられるので注意が必要です。それと管理人が今日経験したことですが、山道の通路は斜面の崩壊に注意しないといけないことです。管理人は開門時間前に訪ねたのですが、駐車場に向かう通路に藤の木が崩れ落ち、通路を塞いでいました。そんな訳で急遽、宮ケ瀬の金澤林道を訪ねることにしました。宮ケ瀬の森には、既にセンダイムシクイやオオルリ、キビタキそしてヤブサメなどの夏鳥が沢山入っているのを確認しています。

 

 「オオルリ(大瑠璃)」は、夏季に中国東北部、ウスリー、朝鮮半島および日本などで繁殖し、冬季は、インドシナ半島からインドネシア、ブルネイ、マレーシアに属するスマトラ、ジャワ、ボルネオなどの各島、いわゆる大スンダ列島とフィリピンに渡って越冬します(☆)。日本には東南アジアで越冬していたものが、繁殖のために夏鳥として渡ってきます。

 

 「オオルリ(大瑠璃)」の大きさは、約16センチメートルで翼開長は約27センチメートルです。オスの背中は尾を含めて光沢のある青、即ち瑠璃色で、名前の由来にもなっています。同じ瑠璃色の夏鳥で、コルリという野鳥に対して大きいのでオオルリと言うことでしょうか。尾の基部には、左右の白斑があり、喉、頭は黒で腹は白色です。オスが美しい色彩になるには、2から3年を要すると考えられています(☆)。鳴き方は、3鳴鳥の一つに数えられ、美しい声でゆっくりと、ピリ、ピリ、ピィー、ジィーと鳴きます。

 

 低山帯から亜高山帯にかけての山地や丘陵に生息し、特に渓流沿いの良く茂った森林に多く、飛翔している昆虫を捕食します。クモなども捕食します。縄張りを持ち、高い木の天辺で囀るのは、婚約者に向けてのラブコールの他に自分の縄張りを主張するためでもあります(☆)。

 

 「オオルリ(大瑠璃)」の個体数は年々減少化傾向にあり、国際自然保護連合(IUCN)ではレッドリストの軽度懸念になっており、我が国では渡来数を把握する各都道府県ごとに対応が分かれています。管理人の住む神奈川県では準絶滅危惧種に指定、千葉県は国が定める絶滅危惧1B類に相当する重要保護生物に指定しています(☆)。

 

 越冬地の東南アジアは、カラフルな野鳥たちがいっぱい。そんな中でも「オオルリ(大瑠璃)」の瑠璃色と純白の美しさは引けを取らなかったことでしょう。子育てのない恋の季節は色彩の一番美しい時。これから半年間、子育てに頑張って欲しいと願っています。今、宮ケ瀬の森の奥は、野鳥たちの恋のシーズン、新緑の葉陰の裏で囀る野鳥を探すのは困難になってきましたが、じっと待っていると目の前に止まってくれることがあります。忍耐は付き物ですね。

 

注)     ☆印は、Webウィキペディアのオオルリの解説を参照し、一部引用しています。

撮影場所;神奈川県相模原市緑区鳥屋 金沢林道

撮影日;2021.4.22