北国へ向かう途中の「ホウロクシギ(焙烙鷸)」が、平塚市の水田に羽休めで立ち寄り?! 脇目も振らず採餌に夢中で、ついフライングの急接近!!

 この所、曇り空とにわか雨が続き野鳥撮影を悩ませています。東海地方が梅雨入りしているので、関東地方も梅雨に入ったのかと思いきやまだのようです。新型コロナ感染症の蔓延も新たな変異ウィルスの出現で収束が一向に見えて来ません。そんな中、知人から旅鳥の「ホウロクシギ(焙烙鷸)」が平塚市の水田で羽休めしている情報をもらいました。

 

 「ホウロクシギ(焙烙鷸)」は管理人にとって未撮影の野鳥で、先月の中旬ころ、酒匂川河口に入っていると教えられ探したのですが見つけることができませんでした。「ホウロクシギ(焙烙鷸)」は、シベリアやカムチャツカ、中国東北部で繁殖し、冬季にはフィリピン、台湾、オーストラリアなどに渡りを行い越冬します(☆)。日本には旅鳥として春と秋の2回、渡りの途中で渡来します(☆)。

 

 ホウロクシギは、体長が60センチメートルで、日本に渡来するシギ類ではダイシャクシギなどと並んで最大級の大きさになります(☆)。全身の羽毛は褐色の細かいまだら模様をしています(☆)。到着しているホウロクシギは余ほどお腹が空いているのか採餌に夢中で、時折りフライングして近づきすぎる程です。田起こしされた水田には水が張られ、その中を動き回って捕食をしているのです。また、畦道では長いクチバシを畦に突き刺してミミズを捕っており、クチバシを泥まみれにしていました。

 

 「ホウロクシギ(焙烙鷸)」は主に、河口や海辺の干潟に生息します。干潟を歩き回り、長いクチバシを使ってカニやゴカイなどを捕食します。稀には昆虫を捕食します(☆)。「ホウロクシギ(焙烙鷸)」の名前について調べると、「ホウロク」は漢字で「焙烙」と表され、江戸時代以降から用いられる煎り器で土鍋のことを指します。ホウロクシギは、色が「焙烙」に似ていることに由来します。

 

 日本に渡来するシギ類の中で最大級の大きさと言われているホウロクシギですが、姿、色合い、大きさの似ているのがダイシャクシギです。管理人は、ダイシャクシギをまだ撮影していませんが、Webなどで写真を見るとそっくりでなかなか見分けるのが困難です。Webを検索すると両者の識別のポイントを紹介した記事が、大阪南港野鳥園からホウロクシギとダイシャクシギの野鳥メモ帳でその違いが紹介されています。改めて比較のポイントは4点あります。

 

1点目は、体全体の色合いです。同じ褐色でまだら模様をしていますが、ホウロクシギの方が褐色味が濃く、ダイシャクシギはやや淡色です。 

2点目は、体下面から下尾筒までの色の違いです。ホウロクシギは、全体に淡い褐色をしていますが、ダイシャクシギは白色です。

3点目は、背から腰の色の違いです。ホウロクシギは、淡褐色でマダラ紋なのに、ダイシャクシギは白色です。

4点目は、翼を広げた時の下面の色が違うことです。ホウロクシギは一様に褐色の色合いなのに、ダイシャクシギは、風切りを除いて白色になります。

 

 今回撮影したシギは、まぎれもなく「ホウロクシギ(焙烙鷸)」で間違いがないことが分かりました。1点目の色合いの濃淡は比較する物が無いので分かりませんが、2から4点目まで比較ができる写真を掲載しております。確認して見てください。平塚の水田に立ち寄った個体は、4日間滞在しているとのことです。栄養を付けこれから繁殖地の北国に向けて出発となります。元気に旅立って欲しいものです。

 

注)    ☆印は、Webのホウロクシギの解説を参照し、一部を引用しています。ホウロクシギとダイシャクシギの識別については、Webの大阪南港野鳥園(正式名称は、野鳥園臨港緑地)から「野鳥メモ帳」を参考にしました。

撮影場所;神奈川県平塚市 水田

撮影日;2021.05.22