日本でも特定の地域で繁殖が見られる「ツバメチドリ(燕千鳥)」が、平塚の田圃で羽休め。口元を橙色に染め、眼先から胸元の黒い筋模様は精悍な顔つきに!!!

  高齢者への新型コロナ感染症のワクチン接種がやっと始まりました。電話やネット予約であらかじめ申し込みを行うものですが、申し込みが殺到し混乱が生じているようです。対象者を年齢で区切ってやるまでは良かったのですが、何分高齢者ですので工夫が必要でした。今日は平塚の田圃に入ったツバメチドリを撮影に出掛けました。

 

 「ツバメチドリ(燕千鳥)」は、尾羽が長くツバメのようにV字型になっており、その姿がツバメに連想でき、和名の由来にもなっています。表題にも示した通り、北海道を除く本州や四国、九州の特定の地域で繁殖も見られていますが、夏季に中国東部やロシア南東部、ヒマラヤ山脈などで繁殖し、冬季には東南アジア各国やインド、スリランカ、オーストラリアに南下し越冬します。日本には旅鳥として春と秋の2回、渡りの時期に飛来します(☆)。本州でも関東地方の繁殖地域は、「日本の野鳥識別図鑑」によれば栃木、茨城、埼玉県とのことです。

 

 ツバメチドリの全長は、23~26.5センチメートルで翼開帳は59~64センチメートルです。尾羽がツバメのように長く、V字状をしています。上面は灰褐色で覆われ、腹部や尾羽基部の上面および下面は白い羽毛で覆われています。翼は長く、上雨覆(じょううふく;風切り羽根の基部を覆う羽毛、雨覆いのこと)は灰褐色で、下雨覆は赤色です。初列風切りは白色でクチバシの先端は黒、後足は黒褐色をしています(☆)。春、繁殖地に渡る時には夏羽で、秋、越冬地への渡りの時には冬羽となります。夏羽の特徴は、喉の部分が淡黄色の羽毛で覆われ、眼先から胸部にかけて短黄色を縁取るように、黒い筋模様が入ります。クチバシの基部が赤い色になります。冬羽は、喉は淡黄色の羽毛で覆われ、眼先から胸部にかけての筋模様は不明瞭となり、クチバシの基部は黒色になります。冬羽の写真を参考までに掲示します。

 

 生態については、海岸や干潟、河川、草原などに生息します。食性は動物食で昆虫などを食べ、飛行しながら口を大きく開けて獲物を捕食します(☆)。ヨタカもそうでしたね。集団繁殖(コロニー)を形成します。地面を浅く掘り小石や貝殻を敷き詰めて巣にし、2から3個の卵を産みます。日本では4月から7月にかけて雌雄が交代で抱卵し、抱卵期間は18日間で、育雛も雌雄で行います(☆)。ツバメチドリは環境省のレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。

 

 梅雨を目前に控え、湘南平塚の多くの田圃は田起こしが済んで水が張られ、代掻きの準備が始められていました。代掻きが終われば稲の苗を植える田植えが始まります。知人の話では、ツバメチドリは田起こしが済み水の張られた田んぼに、7羽の群れが入ったとのことです。管理人が訪ねた時は3羽が飛び去り、4羽の群れを確認しました。人慣れしているのか割合近くに寄ってくれ、餌を頻繁に捕ることもなく、立ち止まって辺りを窺いながら同じポーズを取っていました。元気に旅立ち、秋には家族を増やして再び平塚に立ち寄ってもらいたいものです。

 

注)   ☆印は、Webウィキペディアのツバメチドリの解説を参照し、一部を引用させてもらいました。

撮影場所;神奈川県平塚市 田んぼ

撮影日;2021.5.26

秋の渡りで見られるツバメチドリの冬羽。

撮影場所;神奈川県平塚市北豊田 田んぼ

撮影日;2019.10.29