座架依橋の橋桁を営巣地に選んだ、ハヤブサの仲間の「チョウゲンボウ(長元坊)」 ! バッタなど沢山食べ4羽の雛が大きく成長、まもなく巣立ちは完了か?

 新型コロナ感染症の感染防止策として外出自粛が提唱され、野鳥観察も控えめな毎日が続いています。一方で感染防止の決め手となるワクチン接種が高齢者向けを皮切りに先月から始まり、管理人も今月中旬、第一回目の接種予約を取ることができました。ワクチン接種は、罹患しないわけではありませんが罹っても軽い症状で済むようです。

 

 野鳥達は、5月に抱卵して孵った雛たちが幼鳥となり、6月は巣立ちのラッシュになっています。この時期は、野鳥の食べ物となる昆虫や小動物が繁殖しており、子育てには最良の季節と言えましょう。子育てのシーズン中は、餌を雛に与えるため、日頃顔を見せない野鳥が顔出ししてくれ野鳥観察家を楽しませてくれます。今回、座間市厚木市依知(えち)に架かる座架依橋(ざかえばし)橋桁に「チョウゲンボウ(長元坊)」が営巣し、雛を孵したとの情報を得て現地を訪ねました。

 

 チョウゲンボウの営巣場所には、アーチ橋の鉄管や橋桁など人が設置した工作物を利用して巣作りすることを見てきましたが、座架依橋(ざかえばし)の営巣場所は橋桁の一部を活用しています。相模川を跨ぐ橋桁はいくつかの橋脚の上に乗り、地震などの揺れでずれないようワイヤーでつながれています。彼のチョウゲンボウはワイヤーの端末収容菅の中に営巣しているのです。収容菅は意外に大きく40センチメートル位と思われ、羽根を全開にして入れませんが、畳んで頭を下げれば容易に出入りできる高さです。橋桁の一部なので、大雨と暴風に耐えられる最良の営巣場所と言えます。

 

 管理人が訪ねた時、収容菅から時々顔を見せる雛たちは2羽しか確認できませんでしたが、鳥仲間の情報では、4羽の雛が誕生し既に2羽が巣立ちしたとのことでした。この時期、河原には食べ物となるバッタなどの昆虫が沢山いるので、食糧には事欠きません。豊富な食糧に恵まれ、子育てには最適な条件を満たしている環境と言えます。

 

 管理人が野鳥観察を始めた頃、野鳥の名前を覚えるのが難しい野鳥がいました。野鳥の名前の由来を調べて頭に入れるのですが、覚えきれない鳥もいます。チョウゲンボウはその一つで、どうしてチョウゲンボウと呼ばれるのか気になります。Webウィキベディアでは、古代日本語や古代地図を研究してきた、国語学者の吉田金彦博士が提唱する、トンボの方言であるゲンサンポー」という言葉から派生してきた説を取り上げています。チョウゲンボウが滑空する姿が下から見るとトンボが飛んでいるように見え、鳥(チョウ)ゲンサンポーが変化してチョウゲンボウになったのではないかとの説です。頭文字が鳥ではなく「長元」と言う漢字を使用しているのが気になる所です。「長元」は、平安時代の年号とのことです。

 

 「チョウゲンボウ(長元坊)」は、ユーラシア大陸やアフリカ大陸に広く分布し、寒冷地で繁殖した個体は冬季に南方へ渡り越冬するとのことです。日本では夏季に本州北部から中部で繁殖し、冬季は寒冷地に残る個体と暖地に移動する個体に分かれます(☆)。

 

 生態は、農耕地や原野、山林など低地から高山帯まで広い範囲に生息し、単独か、つがいで生活するとのこと。食糧には小型の鳥類やリス、ネズミ等のげっ歯類、ミミズ、カエル、トカゲなどを捕食。ホバリングしながら獲物を見つけると急降下して捕食します(☆)。猛禽類はすべてそうですが、視力が良く、特にチョウゲンボウは紫外線を識別することが出来、リスやネズミの捕食に役立てているそうです(☆)。座架依橋のチョウゲンボウは、河原にいるバッタを捕まえてきて雛たちに食べさせていました。

 

 チョウゲンボウの4羽の子供たちは既に2羽の雛が巣立ちました。管理人が訪ねた時、収容菅を観察していると交互に2羽の雛が顔を出し、興味深げに外の様子をうかがっていました。その中の1羽は大きく羽根を広げる仕草をしており、巣立ちは間もないようです。つい先日まで収容菅からしか見えない外の景色でしたが、そろそろ独り立ちの時、親鳥は徐々に食べ物を少なくして巣立ちを促していきます。巣立ちすると飛翔訓練や採餌の訓練が始まります。野鳥の子育てプログラム、素晴らしいですね。

 

注)    ☆印は、Webウィキベディアのチョウゲンボウの解説から一部を引用させて頂きました。 

橋桁に営巣する「チョウゲンボウ(長元坊)」

撮影場所;神奈川県座間市座架依橋(ざかえばし) 橋桁

撮影日;2021.6.6

チョウゲンボウ、巣立ちを準備する2羽の雛たち。

撮影場所;神奈川県座間市座架依橋(ざかえばし) 橋桁

撮影日;2021.6.11