繁殖地への渡りを忘れたか ? 夏羽の「シロエリオオハム(白襟大波武)」のカップルが彩湖の広い湖面を独り占め。好物の小魚を得意の潜水泳法で次々ゲット!!

  昨日は、遅ればせながら関東甲信地方にもやっと梅雨入りの宣言が出ました。この時期は、天候が急変するので雨具の用意は欠かせません。世の中、新型コロナ感染症のワクチン接種の話題が持ち切りですが、本腰を入れた国の取り組みが功を奏し、接種率は着実に上がっています。早く半数近くに達し、感染者の減少傾向に転じることを祈るばかりです。

 

 野鳥観察家の間で話題に上っているのが「シロエリオオハム(白襟大波武)」です。昨日は、埼玉県の彩湖まで遠出をしてきました。彼の「シロエリオオハム(白襟大波武)」は越冬時は海上で生息することが多く、彩湖のような内陸部の湖で逗留するのは珍しいとのことです。

 

 夏季は、シベリア東北部からアラスカ、カナダで繁殖し、冬季は北アメリカ大陸から西部の沿岸やアリューシャン列島、千島列島を経由して、日本や中国の東シナ海海岸に南下して越冬します(☆)。彩湖のシロエリオオハム、実はカップルだけでなく幼鳥が加わり三羽が逗留しています。推測になりますが、この幼鳥はこのカップルの子供かも知れません。
 

 「シロエリオオハム(白襟大波武)」は、アビ目、アビ科に属し、我が国には冬鳥として九州以北に飛来します。全長は 65センチメートルで、オオハムよりも小型です。夏羽のシロエリオオハムは、前首が紫色光沢のある黒色で、後首がうすい白色となり、背中は黒色で白い角斑が並びます、クチバシは尖り、オオハムに比べるとかなり短く、眼は小さな赤色をしています。冬羽は後首、背が黒褐色で、前首は白く、喉には首輪状の細い黒線が入りますが、不明瞭なこともあります。雌雄が同色です(☆)。夏羽のシロエリオオハム、残念ながら訪ねた時の天候は曇り空で、綺麗に見える首周りの光沢や小粒の赤い眼には光が入りませんでした。

 

 生態について、越冬時は海上で生活し、魚類などを捕食します。港湾や沿岸近くの湖に入ることもあります。鳴き声は、グァーン或いはグォーイと聞こえます(☆)。訪ねた先では、繁殖期に入っているからなのか、オスの方がウォーと大きく鳴いてメスを呼び寄せていました。「シロエリオオハム(白襟大波武)」は、脚が後方についていることから「アトアシ」とも呼ばれるそうです。水かきの発達した脚のみで潜水し、陸では腹ばいで移動します(☆☆)。

 

 「シロエリオオハム(白襟大波武)」と人間との関わりについては、瀬戸内海に「鳥持網代」(とりもちあじろ)という漁法があるそうです。具体的には、シロエリオオハムが群れで小魚を捕らえる習性を利用したもので、海面の上からシロエリオオハムが小魚を狙って潜ると小魚は下に逃げます、その小魚を狙った鯛(タイ)が上がって来るので、小魚を餌に高級魚の鯛を釣る漁法とのことです(☆☆)。まさに海老で鯛を釣る方法ですが、私達には備わっていない野鳥の特殊な能力を有効に活用する方法です。鵜を使った漁法も同様の手法ですね。

 

注)    ☆印は、Webウィキペディアのシロエリオオハムの解説を参照し、一部引用させて頂きました。☆☆印は、サントリー愛鳥活動のシロエリオオハムの解説を参照しています。

撮影場所;埼玉県さいたま市桜区田島 荒川彩湖公園

撮影日;2021.6.14