北国から越冬地に渡る途中で平塚市の休耕田に立ち寄った旅鳥の「アカエリヒレアシシギ(赤襟鰭足鴫)」は、羽根休めと栄養補給に余念なく。

 9月5日、日曜日の昨日、パラリンピックの閉会式が滞りなく終りました。コロナ禍ではありましたが、大きな災害に見舞われることなく無事終了できたことに安堵いたしました。この大会では、数々の世界記録、オリンビック記録そしてパラリンピック記録が誕生しました。選手たちの頑張りもありますが、記録を出しやすい環境作りもあったかも知れません。

 

 今日は、「風のむろさん」の掲示板に珍しい旅鳥の「アカエリヒレアシシギ(赤襟鰭足鴫)」が、平塚市の休耕田に立ち寄っているとの記事を拝見し、遅ればせながら現地を訪ねました。管理人が初めて確認したのは、2018年8月30日なので三年ぶりになります。その時は一羽単独でしたが、今年は三羽入っているとのことです。

 

 「アカエリヒレアシシギ(赤襟鰭足鴫)」は、チドリ目、ヒレアシシギ科に属する野鳥で、足指の前向きの3本には縁にヒレ(鰭)が発達し、水かきが上手にでき、水上生活に適しています。掲載する飛翔写真では足指の部分に着目願います。繁殖期の夏羽根は、襟から首にかけて赤褐色となり、ヒレ(鰭)の付いた足と併せて和名の名前の由来になっています。日本で確認されるヒレアシシギの仲間には、ハイイロヒレアシシギやアメリカヒレアシシギの3種類が観察されています(☆)。

 

 「アカエリヒレアシシギ(赤襟鰭足鴫)」は、北半球の亜寒帯から極北部にかけて繁殖し、冬季は熱帯や南半球地域に渡り越冬します。日本には、春と秋の二回、渡りの途中に飛来します。夏羽根と冬羽根があり、春は夏羽根、秋に冬羽根が確認されています(☆☆)。平塚市の休耕田に立ち寄っている個体は、第1回冬羽根に換羽したものと推量されます。

 

 全長は19センチメートルで背面の羽毛には褐色の斑紋が入ります。クチバシは細長く、雌雄同色になります。オスよりメスの方が褐色が鮮やかでメスの方が体格が良いようです。クチバシから眼をとおり、側頭部にかけて黒色の筋模様(過眼線)が入ります。特徴として一妻多夫の繁殖形態を持っており、メスがオスに対して求愛行動を取ります。抱卵や育雛は、オスが行います(☆)。タマシギもそうでしたね。メスは産卵が終わると越冬地に向けて渡りを開始するとのことです(☆)。

 

 「アカエリヒレアシシギ(赤襟鰭足鴫)」は、海岸、河川、湖、沼等に生息します。食性は動物食で昆虫類や節足動物甲殻類を捕食します(☆)。立ち寄った個体は、葦の葉に付いた白いタムシ状の虫を首を伸ばしながら採餌していました。繁殖時期は、メス同士が産卵場所を巡り、争いを行うとのことです。巣は沼地付近の地面に作られ、雛は生まれると自ら餌を捕り20日以内に飛翔ができるようになります(☆)。

 

 「アカエリヒレアシシギ(赤襟鰭足鴫)」の特徴として長距離の渡りが挙げられています。日本を通過する個体は、シベリアの極北部からオーストラリア方面に渡り越冬していると思われます。立ち寄り先の休耕田の減少が気になりますが、長旅に負けぬよう、しっかり羽根を休め栄養を補給し、元気に旅立って欲しいと願っています。

 

注)   ☆印は、Webウィキペディアのアカエリヒレアシシギの解説を参照し、一部引用しています。☆☆印は、三重の野鳥、「光昌のホームぺージ(mitsumasa's home)」中、シギ・チドリのページから春と秋の羽根の色彩を確認させて頂きました。

 

撮影場所;神奈川県平塚市 休耕田 

撮影日2021.9.05