今年も宮ケ瀬湖畔に立ち寄ってくれた夏鳥の「ツツドリ(筒鳥)」は、桜並木に集る大好物の毛虫を食べ長旅に向けて万全の備え!!

 誰もが予想しえなかった、無観客のオリンピック・パラリンピック2020東京大会。国を2分するほどに賛否が分かれたコロナ禍での国際イベントでしたが、あっという間に終わってしまいました。高温多湿と言う日本特有の気候の中、ワールドレコードなど次々と塗り替えていったアスリートたちには心より敬意を表します。

 

 季節もあっという間に進み、暑い夏から寒さすら感じる気候に変わりました。連日、平塚の休耕田には珍しい、渡りのシギチ類が次々とやって来て私たち野鳥カメラマンを楽しませてくれています。9月の上旬に、夏鳥の「ツツドリ(筒鳥)」が宮ケ瀬へ飛来することを紹介しましたが、今年も期待に応えて赤色型と普通型の二種類の「ツツドリ(筒鳥)」が湖畔の桜並木に到着しました。渡りの長旅に備えての羽根休めと栄養補給です。湖畔の桜並木は、この時期、黄葉が進み秋らしさを感じる程ですが、今年は黄色く染まった葉がまばらで、青葉が沢山残っています。望遠を覗くと葉の裏側には沢山の毛虫が集っているのが見え、「ツツドリ(筒鳥)」にとっては大好物の毛虫が食べられ大満足です。今年のツツドリの撮影、実は、この青葉が曲者で葉の裏側に隠れると全く分からなくなります。ただ餌が充分あるので長く止まっており、時間を掛けて顔出しを待つのも良いかもしれません。

 

 「ツツドリ(筒鳥)」は、東南アジアからシベリアにかけて分布する渡り鳥です。シベリアから中国南部、ヒマラヤ地方で繁殖し、東南アジアからオーストラリア北部の地域で越冬します(☆)。日本でも夏鳥として渡来し、四国以北で繁殖します(☆)。宮ケ瀬湖畔にやって来た「ツツドリ(筒鳥)」達も、越冬のため東南アジアやオーストラリア方面に渡って行くのでしょうか。長旅に向けて充分栄養を補給してもらいたいものです。

 

 ツツドリは、漢字で「筒鳥」と書きますが、和名の由来は、繁殖期のオスの鳴き声が、筒を叩くように「ポポ、ポポ」と聞こえることに由来します。「ツツドリ(筒鳥)」は、カッコウ目、カッコウ科に分類されています。ツツドリの仲間には、ホトトギス、カッコウ、ジュウイチがいます。管理人は最近知ったのですが、野鳥撮影家達はこの4種類の野鳥たちを「トケン類」と呼んでいます。ホトトギスの漢名は、「杜鵑・トケン」と表します。ホトトギスやツツドリ、カッコウ、ジュウイチは同じ仲間なので「トケン類」と分類しているのですね。因みに中国語では、ツツドリを「中杜鵑」と称するとか(☆)。「明日は、トケン類のツツドリを撮影に行く」、と言うと何となく専門家らしく聞こえますね。

 

 この「トケン類」、ジュウイチを除いて姿・形が良く似ています。体型がスマートで大きさは、ホトトギスが一番小さく28センチメートル、ジュウイチは30センチメートル、ツツドリ約33センチメートル、カッコウが大きく35センチメートルです(☆)。いずれもキジバトくらいの大きさで区別は難しそうです。決定的な違いは鳴き声でしょうか。それと飛び方が少し違うようです。

 

 「ツツドリ(筒鳥)」の生態は、平地から山地の森林内で単独で生息しあまり目に留まりません。しかし、渡りの時期には都市公園の桜などに付く毛虫を好んで捕食します(☆)。高い費用をかけて毛虫の駆除をするよりも、ツツドリ達に食べてもらう方が安全な駆除作業になりますね。ツツドリは、他のトケン類同様、自らは雛を孵さないでセンダイムシクイやウグイスなどに托卵をします。

 

 渡りの時期だけしか見れない「ツツドリ(筒鳥)」の観察は今だけです。行楽を兼ねて野鳥撮影を楽しむのも良いかも知れません。

 

注) ☆印は、Webウィキペディアからツツドリを参照し、一部引用しています。

撮影場;神奈川県清川村 宮ケ瀬湖畔園地

撮影日;2021.9.08