伊勢原市の休耕田で、珍しいオーストラリアセイタカシギが羽根休め、旅の疲れか寝るのに夢中。縄張りとするトビから追尾攻撃を受け、必死の飛翔で避難。

 コロナ感染症拡大の目安となる東京都の現状は、やっと一日当たりの感染者が1,000人を下回り、減少傾向が見られてきています。今日は、知人のMさんから、珍しいオーストラリアセイタカシギが伊勢原市の休耕田に立ち寄っているとの情報をもらい、現場に急行しました。管理人にとっては、初めて撮影する野鳥です。

 

 Webでオーストラリアセイタカシギを検索すると、タスマニア島を含むオーストラリア全域に分布する野鳥で、我が国で見られるセイタカシギよりも少し大きく、逞しく見れるとのことです。その大きな特徴は、背中が艶のある黒色をしており、胸腹部はきれいな白色をしているそうです。

 

 現地に到着した時、当の野鳥は休耕田の中央付近で寄り添うように間をおいて首を丸め、一本足での就寝状態でした。知人さんを見つけて状況を確認すると、到着してから少し動き回った後、ずっと今の状態を保っているとのことです。疲れているのか採餌は全くしておらず、ひたすら寝ている状態です。それでも気長に待っていると、時折りストレッチをしたり、眼を開けて辺りの様子を窺ったりして、その時が少ないシャッターチャンスでした。二羽いますが、背中が黒いのは一羽だけです。拡大して確認すると黒色の羽毛は逆立って見え、オーストラリアセイタカシギの成鳥で間違いなさそうです。

 

 暫く観察していると、セイタカシギの行動がにわかに忙しくなりました。眠ってばかりで、今日の撮影は無理かと諦めかけていた矢先です。二羽のうちの背中の薄い一羽が何かに怯える様に移動を始めたのです。続いて背中の黒い個体が異変を感じて動き始め、逃げるように舞い上がりました。猛禽の襲撃か ? と思いきや撮影仲間から「トビ、トビ」の声、セイタカシギには気の毒ですが、ラッキーなシャッターチャンス到来です。普通、トビは野鳥を襲ったりしないのに、どうしたことでしょうか。知り合いの鳥仲間の話では、トビは獲物にする訳ではなくチョッカイだけを出しているらしいのです。舞い上がって逃げるセイタカシギを追うように、後ろから追尾攻撃を仕掛けていました。

 

 一連のトビ騒動があり、オーストラリアセイタカシギ撮影ミッションは完了することができました。あのまま寝ていたら炎天下で待つことになり大変でしたのでトビには感謝です。Webでオーストラリアセイタカシギを調べると各地で確認されているようです。シギの仲間には旅鳥や渡り鳥にオーストラリア方面から飛来している野鳥もいますので、紛れて渡来する個体も不思議ではありません。長旅を無事に乗り切って欲しいものです。ところで、オーストラリアセイタカシギの漢字表記はどのようにしたら良いか迷います。オーストラリアの一般的な地名の用い方は「豪州」と表し、漢字表記では「濠太刺利」です。管理人は一般的な使い方でわかり易く「オーストラリアセイタカシギ(豪州背高鷸)」と表すようにしました。

撮影場所;神奈川県伊勢原市 休耕田

撮影日;2021.9.15

オーストラリアセイタカシギの特徴となる背中の拡大写真     2021.9.15撮影