今年の秋も秦野に立ち寄る旅鳥の「エゾビタキ(蝦夷鶲)」。権現山の水飲み場は、次々浸入するエゾビタキを先住者のキビタキ雌が追いかけ回して追い払い。

 最近、権現山の水飲み場は野鳥愛好家の人気のスポットに定着しています。管理人は昨年の失敗を反省に早起きして現地には4時半に到着したのですが、既に一番乗りの方がおられ、数少ない観察窓は直ぐに埋まってしまう状態でした。エゾビタキの到着するこの時期は、野鳥たちの水飲み場を争う如く、競争が激化しているようです。

 

 エゾビタキは我が国には旅鳥として春と秋の渡りの時期に渡来する野鳥ですが、夏季にはシベリア半島、サハリン、カムチャツカ半島南部等で繁殖が行われ、冬季はフィリピン、セレベス島、ニューギニア等に南下して越冬します(☆)。食性は動物食で昆虫類を食べ、枝先の先端に止まり、飛翔している昆虫を目掛け、ノビタキのように飛びながら捕食します。権現山の頂上には桜の木など広葉樹が沢山ありますので、エゾビタキはこれらの枝先に付いている昆虫を飛びながら餌を捕る、フライングキャッチの光景を見ることができます。

 

 私たちは、喉が渇ききった時、水を飲んだ瞬間なんとも言えない幸福を感じます。水飲み場にやってくる野鳥たちも同じで、一口飲んで顔を上げた時の幸せそうな顔には、それまで警戒を強めていた顔立ちとはまるで異なる柔和な表情を見せてくれます。この弘法山公園の東にある権現山の水飲み場は、秦野市がバードサンクチュアリーとして野鳥観察ができる施設を提供しており、野鳥たちには命の水を提供しているのです。年間の維持費だけでも馬鹿にならないのに秦野市の取り組みには本当に感謝です。

  

 渡り鳥の渡来は、繁殖地の環境等に大きく左右されると考えられます。昨年は少し少なかったように感じましたが、今年は「ツィー」と言う鳴き声の多さなどから沢山飛来しているようです。野鳥の保護は、繁殖地と生息地、そして渡りの立ち寄り先も含めてしっかり考えないといけないですね。立ち寄ったエゾビタキは、これから寒くなる一歩手前、12月の前半頃までの長逗留ですが、越冬地の東南アジアは遠距離、渡りの飛翔に耐えられように、食べ物を沢山食べ栄養を付けて来年も元気な姿を見せて欲しいものです。

 

注)   ☆印は、Webウィキペディアのエゾビタキの解説を参照し、一部引用させていただきました。 

撮影場所;神奈川県秦野市権現山 秦野バードサンクチュアリー

撮影日;2021.9.25

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コメント: 2
  • #1

    十兵衛 (日曜日, 26 9月 2021 08:40)

    枝止まり、水絡み、素晴らしい‼️目が可愛らしいですね。

  • #2

    鳥の響宴管理人 (日曜日, 26 9月 2021 10:07)

    十兵衛様

    お褒め頂きありがとうございます。
    励みになります。

     山の水場、競争率が年々増して、良い席(窓)が、と言うより席そのものが取れないので苦労します。特に渡り鳥の来るこの時期は、水場の立ち寄りもあるので大変な人気になっています。