六甲山系の一角にある神戸市森林植物園内のゴシュユの実に、北国から渡来した旅鳥の「オオムシクイ(大虫喰)」が立ち寄り。

 9月30日でコロナ感染症の緊急事態宣言が解除され、今日で20日が経ちました。私たち一人一人の感染防止対策とワクチン接種効果が相俟って減少傾向に転じたとの政府の説明ですが、日を追うごとの減少に専門家も明確な説明ができていない状況が少し気になる所です。県外移動自粛の解禁された今、早速神戸市の森林植物園を訪ねました。

 

 神戸市森林植物園は六甲山系の西端に位置し、新幹線の新神戸駅からは市街地を抜けることなく六甲山地の布引トンネルを利用して天王谷ICで降りて有馬街道を上り、所要時間30分で到着ができる好立地です。園内は有料ですが、駐車場が沢山用意されており停める場所に困ることはなさそうです。園の歴史は古く、駐車場に近いメタセコイア並木は、貫禄十分な大木に成長していました。園内は名前のとおり、山の斜面に沿って縦横に通路が設けられ、要所要所に植物や木々が植栽され、来訪者に癒しの空間か提供されています。

 

 森林植物園には、様々な木々が植栽されていますが、その中でも薬の元になる樹木を集めて管理している「薬樹園」があります。実は同じ渡りの旅鳥でシベリアで繁殖していたムギマキが、この薬樹園に植えられた「ゴシュユ(呉茱萸)」の赤い実を狙って顔を出すとブログで紹介されており、遠征の計画を立てたのです。残念ながらムギマキの渡来には時期が早く会えませんでしたが、「オオムシクイ(大虫喰)」を撮影することができました。ブログによると、このゴシュユの実には、キビタキやコサメビタキなど色々な小鳥が集まって来るとのことです。「ゴシュユ(呉茱萸)」は、胃腸や利尿、冷え性、慢性頭痛に効く薬とのことですが、決して甘くはなく漢方の匂いのする無味に近いものでした。小鳥たちは本能的に分かっていて、体調管理に食べているのでしょうか。

 

 オオムシクイがこの「ゴシュユ(呉茱萸)」の実を食べたかどうかは定かではありませんが、実を啄む様に何回か顔を出してくれたのです。管理人はムシクイの区別を付けられませんが、今回、ムギマキ狙いで訪れた地元のCMさんによれば、オオムシクイとのことでした。近くの樹々を移動する際、鳴き声がウグイスの地鳴きのように「ジッ ジツ ジッ」と鳴きながら動いていました。

 

 「オオムシクイ(大虫喰)」は、メボソムシクイの亜種としてコボソムシクイとされていましたが、日本鳥類目録第7版でオオムシクイと改められました。日本では夏鳥として北海道知床半島やサハリン、カムチャツカで繁殖をしますが、それ以外の地域では春と秋に通過する旅鳥とのことです(☆)。日本を通過点とするならば、越冬地は東南アジア方面でしょうか。

 

 訪ねた初日に確認した二羽の「オオムシクイ(大虫喰)」は、ゴシュユやナラの樹々を飛び交い姿を見せ楽しませてくれましたが、翌日は朝から顔を出しませんでした。渡りの時期にも重なっており最後の出会いだったのかも知れません。今回の撮影は本来の目的と違う野鳥の観察となりましたが、「オオムシクイ(大虫喰)」は初見であり大収穫でした。今回は関西に遠征しての野鳥観察でしたが、地域を越えて野鳥を愛する人たちは多く、関西訛りで会話をしている人たちが何となく微笑ましく感じられました。

 

注)    ☆印は、日本野鳥の会京都支部、2016.10.18付け、宇治橋上流でのオオムシクイに関する記事を参照し、一部引用させて頂きました。

撮影場所;兵庫県神戸市北区 神戸市立森林植物園

撮影日;2021.10.18