今田遊水地は、越冬する鴨たちにとって極上の採餌場。夏場に繁茂した「菱」を目当てに沢山の鴨たちが逗留。堰堤法面の縁に今年初見の「タシギ(田鴫)」を発見。

 10月も残すところあと2日になってしまいました。月日の経つのは本当に早いものです。毎日のニュースはコロナ感染症の罹患者数に明け暮れ、その数に一喜一憂して来たように思います。驚異的な感染拡大の中、ワクチン接種者でも罹患するブレークスルー感染には私たちを恐怖に陥れました。緊急事態宣言解除からはひと月が経とうとしています。

 

 今日は朝から雲一つない秋晴れとなりました。まだいてくれればと今田遊水地を訪ねたのですが、お目当ての「クロハラアジサシ(黒腹鯵刺)」は旅立ってしまったようです。遊水地の池面には沢山の鴨たちが越冬のためやって来て賑わいを見せていました。この池には夏場、池全体を覆うように「菱」が蔓延っていましたが、これが冬季、鴨たちの格好の餌になっているのです。見ているとオカヨシガモやヒドリガモが浮いている「菱」の茎を啄んでいました。

 

 オカヨシガモの動きを追いかけていると堰堤の法面縁に、クチバシが長く枯草に間違う保護色の「タシギ(田鴫)」を見つけました。偶然覗いた法面縁で、動かないでいると枯草に隠れて全く気付かないかも知れません。夜行性の野鳥ですので昼間に行動しているの珍しいことです。観察を続けると時折り両足で地面を踏みつけるような仕草をします。トラツグミがミミズを這い出させるため振動を与えますが、ちょうどその行動に似ています。「タシギ(田鴫)」もミミズを採餌していたのでしょうか。一羽のセグロセキレイが「タシギ(田鴫)」に接近すると、尾羽を逆立てて威嚇をしました。

 

 「タシギ(田鴫)」は、北アメリカ大陸、南アメリカ大陸の北部及び南部、ユーラシア大陸、アフリカ中部及び南部、日本に分布しています(☆)。ユーラシア大陸北部と北アメリカ北部で繁殖し、冬季はヨーロッパ南部、アフリカ、中東、インド、東南アジア、北アメリカ大陸南部に渡り越冬します(☆)。日本では春と秋に渡りの途中で飛来する旅鳥で、本州中部以南では越冬のため飛来する冬鳥です(☆)。管理人は境川遊水地公園の下流側となる俣野遊水地で越冬していたペアの個体を確認したことがあります。この個体もこの遊水地で冬を越すのかも知れません。

 

 「タシギ(田鴫)」の体長は、27センチメートル、翼開長は43センチメートルになります。頭部、胸部、背面は褐色で黒と白が混ざったような羽毛で覆われます。この体色は草の中で保護色になります。後部の羽毛は白く、尾羽は通常14枚あります。クチバシは直線的で長い形状をしており、雌雄は同色です(☆)。

 

 日本では、水田、河川、内陸の湿地などに生息し、和名の「タシギ(田鴫)」は、田によくいることに由来します。単独で生活しますが、時に小規模な群れを作ることもあります。食性は動物食の強い雑食で、昆虫類、節足動物、甲殻類、種子等を食べます。主に夜間採餌し、安全な場所では昼間も採餌する(☆)。

 

 「タシギ(田鴫)」は、フランス料理の食材として用いられ、狩猟用に指定される対象種とのことです(☆)。狙撃の英名であるSnipingや狙撃手を表すSniper  は、タシギ猟からの語源とのことです。「タシギ(田鴫)」は、9月頃水田で見ることができますが、管理人は今季初見でした。

 

注)     ☆印は、Webウィキペディアからタシギの解説を参照し一部引用しています。

撮影場所;神奈川県横浜市泉区 今田遊水地

撮影日;2021.10.28