湘南田圃の稲刈り後に、今年も忘れず飛来した田園の貴婦人、「タゲリ(田鳧)」。昨年よりも数が減って、6羽の逗留を確認。

 管理人が住む近辺の野鳥ブロガーから、平塚の田圃に冬鳥の「タゲリ(田鳧)」が入っていることが多数紹介されています。管理人もブログ更新のため遅れ馳せながら現地を訪ねて見ました。毎年、集団で来てくれる「タゲリ(田鳧)」なのですが、今年は数が減って六羽しか確認できません。年々の減少化傾向で、野鳥愛好家としては今後が大変心配です。

 

 到着した時、4~5人のカメラマンが田圃の畔に陣取って稲刈り後の田圃にカメラを向けていました。状況を教えて頂くと、一羽だけだが稲刈り後の稲株の脇で休んでいるとのことです。また、少し離れた田圃には、田起こしの後に5羽くらいがやはり休んでいるとの情報です。「タゲリ(田鳧)」は、警戒心が強く群れの監視役が危険を察知すると一斉に飛び去ってしまいますので一羽だけだと安心して撮影できそうです。暫く待っていると採餌行動が始まりました。ところが、正面を向いていたので近付いてくれると思いきや、稲の列を跨いで移動し、畔に乗ると再び休憩モードに入ってしまいました。ここを諦め、田起こしの済んだ、5羽いる田圃に移動して「タゲリ(田鳧)」を撮影しました。

 

 タゲリは、ユーラシア大陸の中緯度地域で繁殖し、冬季はアフリカ大陸北部やユーラシア大陸の南部等に越冬します。日本には冬季に越冬のため本州に飛来し、過去には足環から、モンゴルから石川県加賀市まで飛来する事例があったとのことまた、中部地方や関東地方北部では繁殖事例もあるとのことです(☆)。

 

 タゲリはその佇まいから田園の貴婦人と呼ばれています。頭の上には、黒く長めにスラッと伸びた冠羽を被り、暗緑色のスエード様のマントを羽織り、長い足を交差させる姿は貴婦人そのものです。この綺麗な暗緑色のスエード様のマントは、日中の陽の光に照らされないと綺麗な色が出ません。ところで、綺麗な美しい鳥なのですが、土中を漁るためクチバシの汚れが気になる所です。

 

 タゲリは、神奈川県を含む東京都や三重県で、レッドリストのⅡ類に指定され、茅ケ崎市の西久保では越冬地となる田圃の環境保全を推進しており、「湘南タゲリ米」などのブランド米を販売しタゲリの保護に当たっています。野鳥が生息できる環境は、私たち人間が求める環境でもあり、地道ではありますが日本全国にこうした保護活動の輪が広がることを望んでいます。来年の3月頃まで、約半年間を平塚の田園地帯で過ごす「タゲリ(田鳧)」たち、一羽も欠けることなく元気に過ごして欲しいものです。

 

注)  ☆印は、Web版ウィキペディアのタゲリの解説を参照し、引用しています。

撮影場所;神奈川県平塚市北豊田

撮影日;2021.11.15