日本に渡来する「カワアイサ(川秋沙)」の一割(600羽)が越冬する長野県の諏訪湖。ワカサギ漁の邪魔にならない、唯一天竜川の源、釜口水門に集結し羽休め。

  コロナ感染者数は、皮肉なことにオリンピック開催中の2万5千人がピークで、その後減少に転じ11月は100人を下回る日が続いています。つい先日は、感染防止を講じた上での飲食や会合、そして各種イベントの人数制限を緩和する方針が出されるなど出口が見えたかに映りました。しかし、今回再びアフリカ発のオミクロン変異株に混乱が止まりません。

 

 12月の師走を迎え、日本で越冬する冬鳥たちは次々と押し寄せています。今回、昨年訪ねた岡谷市の塩嶺王城パークラインを再び訪ねて見ました。残念ながらイスカやオオマシコの姿は見当たらず、管理人も含めて期待して来られた多くの野鳥撮影家たちを失望させました。渡来が少し遅くなっても途絶えることがないよう祈るばかりです。そんなことから今回、諏訪湖に飛来している冬鳥の中で「カワアイサ(川秋沙)」にスポットを当て紹介したいと思います。

 

 管理人は、酒匂川や相模川にやって来る「カワアイサ(川秋沙)」を毎年撮影しています。ネットでカワアイサを調べていると、長野県の諏訪湖には、日本に渡来する一割相当の600羽以上の「カワアイサ(川秋沙)」が毎年入って来るとの紹介がありました。数としてはものすごい量で、「カワアイサ(川秋沙)」は漁業の中心となるワカサギなどを食べていると考えられ、関係者にして見れば長い間、懸案の問題であったのかも知れません。そんなことから2020年12月、長野県や漁協が中心となってカワアイサを捕獲し、胃の内容物調査を行ったとのことです(☆)。その結果は、ワカサギだけでなく外来種のブルーギルなども含まれており、ある意味、外来種の撲滅に役立っていることが分かりました。

 

  「カワアイサ(川秋沙)」の世界的な分布は、ユーラシア大陸中北部と北アメリカ北部で繁殖し、冬季はヨーロッパ、中央アジア、インド東部、中国東部、朝鮮半島そして北アメリカ中部などに渡り越冬します。日本には冬鳥として九州以北の河川や湖沼に渡来し越冬を行います(★)。食性は動物食で潜水して魚類を捕食します(★)

 

 「カワアイサ(川秋沙)」の仲間には、姿・形や色などが良く似ている「ウミアイサ(海秋沙)」がいます。少し違うのは、ウミアイサの雄には冠羽がありますが、カワアイサにはありません。また、ウミアイサの雌は喉の斑模様がはっきりしていますが、カワアイサははっきりしません。生息域は、和名にもなっているように越冬時はカワアイサの場合、多くは湖沼や河川などの淡水域です。が、必ずしもそうではなく、内湾や沿岸部の浅瀬にも生息しており、北日本では海水域に多く、西日本では淡水域に多く生息するとのことです(★)

 

 「カワアイサ(川秋沙)」は、潜水しながら小魚を捕りますが、必ず息継ぎは必要です。諏訪湖の湖面は、冬季凍結しますので、氷の下に潜って捕る範囲は限られてくるはずです。水産資源を守りながら野鳥と共存する、何かうまい手が見いだせないでしょうか。仄聞ですが、諏訪湖には白鳥を呼び込もうとする運動があるとのことです。優雅な白鳥を観光客招致の切り札にしようとの考え方ですが、同じカモ科の「カワアイサ(川秋沙)」にも野鳥の保護を兼ねた観光資源としての活用も検討して見てはどうかと思うのです。

 

 天竜川の源となる諏訪湖の金口水門付近には、「カワアイサ(川秋沙)」を始めとして、神の使いの「ミコアイサ(巫女秋沙)」や「ホオジロガモ(頬白鴨)」が群れになって泳いでいました。湖には、カンムリカイツブリやハジロカイツブリの姿がありました。カワアイサも湖の中だとワカサギ漁の邪魔になりますので、天竜川を拠点にして、元気に越冬して欲しいと願っています。

  

注) ☆は、2021.1.4付け長野日報「水資源との共存は、諏訪湖のカワアイサ調査」より抜粋。

   ★印は、Webウィキペディアのカワアイサの解説を参照し、一部引用しています。   

諏訪湖に群れで飛来している「カワアイサ(川秋沙)」。

撮影場所;長野県岡谷市 諏訪湖金口水門 天竜川

撮影日;2021.12.03

諏訪湖で越冬している鴨や鳰の仲間たち

「ホオジロガモ(頬白鴨)」(左上)   「ミコアイサ(巫女秋沙)」(右上)

「カンムリカイツブリ(冠鳰)」(左下) 「ハジロカイツブリ(羽白)」(右下)