町田市薬師の杜に今年も単身で越冬する「オシドリ(鴛鴦)」の雄。谷戸の杜には沢山の楢や椚木が自生し、そのドングリを独り占め。ホシハジロの群れと行動していて、何故かプリンス気分。

 町田市の薬師池公園を訪ねました。谷戸の中には大きな池があり、この池は、水田の農業用貯水池として430年前に武藤半六郎と言う方が造られたとのことです(※)。東京都公園の名所百選にも選ばれており、夏はカルガモやカイツブリしかいなかった池も、黄葉を迎える10月に入ると冬鳥の鴨たちが順次押し寄せ俄かに活気づいてきます。

 

 木立に囲まれた谷間の公園は、足を踏み入れた途端別世界に入った感覚になります。谷戸の中央にある池には、周囲の樹々の緑や黄色の黄葉を映し出し、その中を泳ぐ鴨たちを一際綺麗に引き立たたせてくれます。前回のブログでホシハジロとキンクロハジロを紹介しましたが、どうやらその中に「オシドリ(鴛鴦)」の雄が一羽、混じっているようなのです。昨年も一羽単独で越冬していましたが、昨年の個体なのでしょうか。昨年は群れから脱落したものと思っていましたが、越冬の環境として相応しく、とにかくドングリなど十分な食糧があることを覚えており、今年は確かな意思を持って飛来しているようです。次回来るときには仲間を引き連れ、奥様同伴で来て欲しいものです。

 

 「オシドリ(鴛鴦)」の世界的な分布は、ロシア南東部、朝鮮半島、日本、中国などの東アジア地域に分布します。日本では北海道や本州中部以北で繁殖し、冬季になると本州以南、主に西日本に南下し越冬します(☆)。オシドリは漂鳥ですが、冬鳥のように国外から渡ってくることもあるそうです(☆)。

 

 オシドリの大きさは、雄が48センチメートル、雌は41センチメートルで、雌の方が小さく地味な色彩です。雄のクチバシは赤く、先端が白色をしており雌は黒色をしています。特に雄は、繁殖期を前にして綺麗な色彩となり、普通は警戒心が強く近づいてくれないオシドリですが、仲間が大胆なホシハジロやキンクロハジロの群れに交じって、間近に寄ってくれます。池の南側にある使用済みのホースの上が休み場所になっているようです。

 

 「オシドリ(鴛鴦)」は、渓流や湖沼などに生息しており、水辺の木陰を好み、開けた水面にはあまり出てきません。食性は、植物食傾向の強い雑食で、水生植物、果実、種子、昆虫を採食します。この時期は、落ちたドングリの実などを好んで食べます。オシドリの営巣は、樹の洞(ウロ)などで、抱卵から育雛までメスが行い、雄は関与しません(☆)。高い洞から雛が巣立つまで謎だったらしいのですが、雛は自分から飛び降りるようです。NHKの特集番組では、北大のキャンパス内でオシドリの営巣から巣立ちまで観察した記録が紹介され、その中では雛の飛び降りる様子が紹介されました。

 

 

注)※印は、町田市ホームページ、薬師池公園の由来を参照。☆印は、Webウィキペディアのオシドリの解説を参照し、一部引用しています。

 

撮影場所;東京都町田市 薬師池公園

撮影日;2021.12.12